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2014 Fiscal Year Research-status Report

利益概念から剰余金概念への移行に対する会社法および税法の対応と展開

Research Project

Project/Area Number 26380143
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

三島 徹也  関西大学, 会計研究科, 教授 (70309342)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 中村 繁隆  関西大学, 会計研究科, 准教授 (20581664)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords剰余金 / 利益 / 会社法 / 税法
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度は、会社法および税法における剰余金法制に関して、「歴史的研究」および「会計学的研究」を行った。
「歴史的研究」においては、レースラー商法草案および明治23年商法から平成17年会社法制定に至るまでの剰余金法制の変遷をたどった。特に注目すべき改正が、昭和25年商法改正であり、剰余金法制を直接改正しようとしたものではなかったが、無額面株式の導入及び授権資本制度の採用の結果として、資本金と資本準備金の会計や資本の決定方法に関する重要な変更が行われ、結果として利益の配当に大きな影響を与えたことが分かった。さらに、その後の会社法改正の傾向としては、剰余金法配当等に関して、規制を緩和するとともに、会社債権者の保護に関してはそれを開示することとして、債権者はそれを自ら判断して取引に入るべきという、債権者の自己責任の原則が採用されるようになった。
また、税法における剰余金法制はこれまで、配当の概念を原則として商法(会社法)から借用しているという前提で構築されているが、その後の平成17年度の商法改正以降、その前提が一部崩れてきており、会社法との立場の違いが明確になってきていることが分かった。
「会計学的研究」においては、利益・剰余金会計の目的、内容及びその機能が、やはり、会社債権者を第一にその保護の対象とし、次いで株主の保護を図るという会社法とは、共通する部分はあるものの大きく異なる。さらに、法人に対して、公平・公正な課税を行うことを第一の目的としている税法との関係においても、法人の財政を明らかにする側面においては一致をみるものの、根本的な違いが内在している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本課題は、交付申請書の記載のとおり、平成26年度から平成28年度までの3年間をその研究機関としているが、その初年度である平成26年度は、会社法および税法における剰余金法制に関して「歴史的研究」および「会計学的研究」を行うことを目的としており、「歴史的研究」に関しては、レースラー商法草案および明治23年商法から平成17年会社法制定に至るまでの剰余金法制の変遷をたどることができ、時代が進むにつれて債権者保護の役割が薄れ、会社にとってより資金の活用に優れた法制へと変化してきたことが分かった。また、「会計学的研究」に関しては、会計学においては、会社法および税法とのその趣旨が異なり、会社の資金をどのように運用して、どれだけの利益を上げたかということが重要であり、いまだ「利益」概念に大きな意味があることを見出すことができた。よって、おおむね予定した研究を行うことができ、平成27年度の研究テーマへとつなげることができたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては、まず、今年度にあたる平成27年度は、利益・剰余金分配規制に関して、「ドイツ比較法学的研究」および「現行会社法・税法上の研究」を行う予定である。「ドイツ比較法学的研究」においては、わが国よりもより厳格な資本金・剰余金法制を有するドイツがどのような変遷をたどってきたのか、また現行法においてどのような議論があるのかを探る。「現行会社法・税法上の研究」では、わが国における現行会社法・税法における解釈および実務上の課題について検討を加える。さらに、最終年度となる平成28年度はこれまでに行ってきた4つの研究(「歴史的研究」、「会計学的研究」、「ドイツ比較法的研究」および「現行会社法・税法上の研究」を有機的に結合させて総括をする。そして、最終的に、「利益概念から剰余金概念への移行に対する会社法および税法の対応と展開」について明らかにする。

Causes of Carryover

今年度においてはおおむね順調に研究は進行した。今年度の研究は主に文献研究であったが、研究代表者および研究分担者ともに、本研究費以外の他の研究費から文献を購入することができたこと、およびすでに存在する書籍を利用・借用することにより、その費用を大幅に抑えることができたことから、次年度使用額が生じた。また、次年度においては、主に外国を対象とした比較研究に入ることから、次年度はより多くの研究費が必要であると考えたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額となった177,742円は、上の理由でも示したように、次年度における外国を対象とした比較研究に上乗せして利用することを計画している。具体的には、ドイツその他のヨーロッパ諸国を対象とした大学を訪問し、かつその研究者との打ち合わせを行うことが必要となるためである。そして、平成27年度の研究においては、主としてドイツその他のヨーロッパ諸国を対象とした大学における調査およびインタビューが中心となるが、平成27年度の研究費は次年度使用額と合わせて、これらの調査を年間2回(8月および2月)実施するために利用する。その他、文献研究および資料整理、複写費に使用する予定である。

Research Products

(5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 問屋契約(取次契約)における法律関係について2015

    • Author(s)
      三島徹也
    • Journal Title

      現代社会と会計

      Volume: 第9号 Pages: 199-215

  • [Journal Article] 企業の国外離脱と租税条約による規制2015

    • Author(s)
      中村繁隆
    • Journal Title

      現代社会と会計

      Volume: 第9号 Pages: 145-164

  • [Presentation] 経済特区と国際課税-地域活性化縫合特区を中心に-2014

    • Author(s)
      中村繁隆
    • Organizer
      地域に関する法的アプローチ研究会
    • Place of Presentation
      高知短期大学
    • Year and Date
      2014-09-13
  • [Book] プライマリー会社法[第4版]2015

    • Author(s)
      高橋英治、吉井敦子、山田純子、藤田勝利、伊藤吉洋、道野真弘、三島徹也、北村雅史、小柿徳武、米山毅一郎、佐藤誠、小林成三
    • Total Pages
      331(110-134,234-244)
    • Publisher
      法律文化社
  • [Book] 地域に関する法的研究2014

    • Author(s)
      小林直三、峰岸忠、薄井信行、中村隆志、菊池直人、大江一平、吉原司、下山憲二、中村繁隆
    • Total Pages
      280(216-240)
    • Publisher
      新日本法規出版

URL: 

Published: 2016-05-27  

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