2014 Fiscal Year Research-status Report
医療技術の発展に対する司法の応答性と司法判断の政策形成への影響
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26380148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 綾子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 助教 (10436503)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国家賠償 / 補償 / 日米 / 医療技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療技術の発展に伴い起こってきた社会事象に対して、司法に問題解決の場としての機能が求められた場合、司法が行う政策形成機能・法創造機能を検討するものである。大きくは、薬害などの被害が発生した場合の国家賠償請求訴訟で、国の法的責任をどう見るかという点と、人工生殖や臓器移植などの医療技術の発展に伴う司法的な決定にどのような決定を行うかという点がある。 今年度の研究実績としては、いわゆる現代訴訟の一つである薬害訴訟を中心に、被害救済を目的とした国家賠償請求に関する研究を行い、「医薬品被害に対する国家賠償請求の日本の状況」の題で、国際医事法学会での報告を行った。本学会では日本の特徴について報告を行うとともに、諸外国との国際比較に関する意見交換を得る機会を得た。 また、医療技術の発展に伴う社会影響と、それに対する司法の政策形成機能については、『人間文化創成科学論叢』に「医療技術の発展と司法の政策形成・法創造機能ー日米比較を基に」の題で投稿し、掲載された。 この論文作成の段階で、おもに、人工生殖の家族関係に関する日米での司法の政策形成・法創造機能に関する比較と、薬害訴訟を中心とする国家賠償請求訴訟での司法の役割の違いについて検討を行った。また、司法の機能という点で、政策形成機能あるいは法創造機能を認めるとしても、立法や行政といった政策形成機能を本来的に担う機関との振り分けををどのように考えるかなどの根本的な問題提起を行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目以降に視野に入っていた国際学会の報告と、査読付き論文の掲載ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に、2年目以降に視野に入っていた国際学会の報告と、査読付き論文の掲載ができたことが大きな成果であったが、その分、基本的な文献調査などについて来年度以降の課題でもある。
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Causes of Carryover |
PC関係の新規購入を予定していたが、所属機関の方針によりPC関係が支給されたためこの点での大幅に使用する必要がなくなった。また、学会報告を行う可能性がある学会が複数考えられたものの、最終的に参加した国際学会の開催国がアジアであり、また自己都合で宿泊できた日数も当初より短かったために、想定よりも使用額が下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、海外調査や文献取り寄せの機会が増えることが当初よりも多くなることが予定されるため、今年度よりも使用金額が大幅に増えることが予想される。
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Research Products
(4 results)