2016 Fiscal Year Research-status Report
インターネット環境の下での国際的名誉毀損事案の解決-国際裁判管轄と準拠法の検討-
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26380152
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
江泉 芳信 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50103601)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 名誉毀損 / 裁判管轄権 / 準拠法 / ライベル・ツーリズム / 外国判決の承認 / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
著作や論文との電子データがインターネットを介して海外に拡散した場合に、執筆が行われた国では表現の自由、出版の自由の下で保護される内容の著作であっても、それが受信された国の法制度では名誉毀損を構成することがある。名誉を毀損されたと主張する原告が、その国で損害の賠償を求めたときに、果たして執筆者は当該国で裁判に服さなければならないのか(国際裁判管轄)、裁判においていかなる国の法が適用されるのか(準拠法)という問題が生じる。 従来の国際私法理論の下では、被害の発生した国に裁判管轄権を認め、被害発生地国法が適用されることも考えられる。こうした場合には、執筆の行われた国と被害の発生した国との間に見られる法の相違が、時として不正義の告発する著作等の公表を妨げる等の結果をもたらすことにもなる。真実が隠蔽され、あるいはフェイク・ニュースがまかり通ることにもなりかねない。 現実にアメリカ合衆国市民が執筆した書籍が、イングランドにおいて名誉毀損の原因となった事例がある。 その後、イングランド法は変更されて新しい法律が制定されることになった(アメリカ合衆国における対抗法の制定もある)ものの、カナダ、オーストラリアにおいては、イングランド法の影響を受けた法規定が存続しているため、法の抵触、判決の抵触が問題を提起する可能性がある。 今回の研究では、イングランド法が変更されることになった事情を分析した。同様の法律変更がカナダやオーストラリアにおいても発生する可能性を探る。それを踏まえて、名誉毀損に関する国際私法ルールを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イングランドの判例、文献については入手できたものの、イングランド法を踏襲したカナダ、オーストラリアについては、国内的に議論が進んでいないからなのかもしれないが、十分な資料が入手できていない。 当面は、イングランド法とアメリカ合衆国法との間に見られる対応の違い、イングランド法を継承しながら独自のルールを形成していったアメリカ法の進展を明らかにし、これら2国間での対立の現状を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
イングランドにおける新しいルールの策定に至るまでの議論をさらに詳細に検討し、そこでの議論が、カナダやオーストラリアにおけるイングランド型のルールを変更する際の理由としてふさわしいと受け止められるのか、それともこれらの国の事情のもとで従来のルールが維持されるのかを明らかにしたい。推測に基づく結論は避けたいとは思うものの、文献が不十分であり、さらにリサーチを続けていく。
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Causes of Carryover |
オーストラリアでの現地調査を予定していたが、学内の活動(ハラスメント防止委員会委員長:2016年9月まで)のため海外出張の時間をつくることができなかったため。 海外出張による調査に代えて、文献調査に専念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献を渉猟して、オーストラリア法、カナダ法、及び香港法の最新状況を調査する。
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