2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reform of Trust-system to Use Trusts in a Mature Society
Project/Area Number |
26380154
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
佐藤 勤 南山大学, 法学部, 教授 (50513587)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 福祉型信託 / 情報の開示制度 / 信託法 / 信託規制法 / 金融商品取引法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度においては、「復興」、「インフラ整備」、「高齢化社会」の各テーマにおける信託の利用方法、およびその障壁となる事項(制度、規制等)について、以下の検討を行った。 第1に、アメリカなどにおいて活発に利用されている特別支援信託(Special Needs Trust)について、その沿革、機能、法の枠組みの調査し、分析を行った。その分析を踏まえ、同様の制度を我が国に導入した場合の法的課題を検討した。また、2017年3月18日には、高齢社会信託研究会が主催する福祉型信託に関するシンポジューム「福祉型信託の役割と機能-スペシャル・ニーズ・トラスト(Special Needs Trust)を事例としたシンガポールとの国際共同研究-」において、この研究成果の一部を発表し、シンガポールの研究者・実務家と意見交換を行った。なお、これらの研究成果は、論文「信託の利用方法の再考-商事の領域での利用から民事の領域での信託の利用へ」にまとめ、2017年1月、南山法学40巻2号で公表した。 第2に、信託の受益権に関する情報開示制度のあり方について、わが国の法制度(信託業法、金融商品取引法、信託法など)を調査し、その問題点・課題を分析した。そして、現行法制における問題点・課題をどのように解決すべきか、検討を行った。これらの分析、検討においては、公益財団トラスト未来フォーラムの研究会で研究成果(中間報告)を発表し、他の学者、実務家から、多くの意見をいただいた。また、わが国の開示制度などの規制との比較を行うため、欧州のファンド規制の調査を目的として、2016年10月29日から11月7日に、ロンドン、ルクセンブルクで調査を行った。なお、以上の研究成果は、2017年7月を目途に、論文「(仮称)信託の受益者に対する情報開示規制」にまとめ、公表する予定である。
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