2016 Fiscal Year Research-status Report
現代社会における消費者法制のありかたについての比較法的研究
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26380155
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 宏直 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (00293077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不実表示 / 情報提供義務 / 広告 / 誤認惹起 / 虚偽 / 消費者法 / 米国法 / コモンロー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はEU法における広告規制、裁判例についての研究を引き続き行った。広告に限らず商品に関する情報は、消費者に情報を伝達して、商品・サービスを購入する消費者の行動に多くの影響を与えているが、近年、業者の不適切な広告、表示、勧誘行為により、消費者が誤認に基づいて契約を締結してしまうといった問題がより深刻になっている。研究においては、EUにおける商品・サービスの広告と、消費者の誤認に関わる規制および裁判例について、商品、サービスの種類、流通形態、消費者の属性、誤認の態様、誤認の社会的・文化的・言語的背景等を中心に、域内市場における物品の自由移動にも留意しながら考察した。 また、米国における虚偽広告、誤認惹起広告、欺瞞的広告および不公正な広告に関する規制、裁判例について研究した。広告規制の種類については、コモンロー上の請求、不公正もしくは欺瞞的な行為または慣行に関する連邦法、州法を取り上げ、個別広告規制等については、FTCの規制、ガイド等を中心に、連邦商標法、貸付真実法、タバコ広告、アルコール広告、環境に関する主張についての広告、子供に対する広告について取り上げ、検討した。 研究成果としては、「米国における広告規制について」(1)(2)と題する論文を、同志社法学第392号、393号に掲載の予定である。また、JARO(公益社団法人 日本広告審査機構)の機関紙に米国の広告規制についての記事を執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EU法における広告規制、裁判例についての研究を引き続き行った。EUにおける商品・サービスの広告と、消費者の誤認に関わる規制および裁判例について、商品、サービスの種類、流通形態、消費者の属性、誤認の態様、誤認の社会的・文化的・言語的背景等を中心に域内市場における物品の自由移動にも留意しながら考察した。 加えて、米国における広告規制、裁判例についての研究も行った。米国における虚偽広告、誤認惹起広告、欺瞞的広告および不公正な広告に関する規制、裁判例を中心に検討した。広告規制、判例に関連し、コモンロー上の請求、不公正もしくは欺瞞的な行為または慣行に関する連邦法、州法を取り上げ、個別広告規制等については、FTCの規制、ガイド等を中心に、連邦商標法、貸付真実法、タバコ広告、アルコール飲料に関する広告、環境に関する主張についての広告、子供向け広告について取り上げ、検討した。 研究成果としては、「米国における広告規制について」(1)(2)(完)と題する論文を、同志社法学第392号、393号に掲載の予定である。また、JARO(公益社団法人 日本広告審査機構)の機関紙に米国の広告規制についての記事を掲載する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
EU、米国の広告規制、裁判例についての研究を行ってきたが、多くの分野においてさまざまな広告規制、裁判例が存在する。環境に関する主張についての広告、子供向け広告など、さらに検討を必要とする分野や、今回検討できなかった分野もあり、引き続き検討していきたい。今後、EU、米国、日本の法規制について、比較法的検討を加えつつ、研究を進めていくつもりである。 また、デジタルコンテンツの供給に関する契約について、デジタルコンテンツに関するEU指令の草案が提出されている。草案は、デジタルコンテンツが消費者と事業者との間で締結された契約に適合しない場合の救済手段などについて定めており、今後の動向が注目される。米国法における米国統一コンピュータ情報取引法(UCITA: Uniform Computer Information Transaction Act)、ALI原則(Principles of the Law of Software Contracts)、日本における「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」等と比較しつつ、検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた図書等を年度内に購入することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
図書等を購入する予定
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