2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安井 宏樹 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60396695)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 議院内閣制 / 分割政府 / 立法過程 / 政策立案 / 政党政治 / 日本 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の2年目に当たる平成27年度は、前年度の研究で得られた知見を活用しながら、学会・研究会などで他の研究者との意見交換を積極的に展開するなどして、戦後ドイツの統治機構上の特徴が政策立案・立法過程・政党政治の態様に与える影響について研究を進めた。その結果、政党政治への影響についての知見として、(1)建設的不信任案制度や政綱決定権をはじめとする様々な制度的権限に支えられている連邦首相の地位は強力なものであるが、議院内閣制であることから、連立与党の連邦議会議員団からの支持を保ち続けなければならない、(2)連邦首相を出している政党の連邦議会議員団からの支持獲得は党内問題であるが、連立を組んでいる小政党(ジュニアパートナー)の連邦議会議員団からの支持を左右するのは連立与党間関係であり、次元を異にする問題として分析していくる必要がある、(3)小政党からの支持を保ち続ける上では、小政党側の意向を政権運営に反映させることが重要であり、そのための手段としては連立与党間協議の実質化が重要なものとなる、(4)小政党側からの影響力は、小政党が政権離脱の現実的な威嚇力を有しているか否かという点に大きく左右されるが、その威嚇力は、政党システムの態様に大きく影響される、といった知見を得て、その成果を活かした学会報告の準備を進め、2016年10月に立命館大学で開催される日本政治学会(分科会E-4「連立政権におけるジュニアパートナーの研究」)で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集や現地調査などの面では当初の計画よりも遅れ気味であるものの、分析・検証は着々と進んでおり、全体的に見れば、おおむね順調に進展しているものと評価できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本の事例についての分析・検証を推進することによって、全体的な日独比較分析としての意義を強化していく。
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Causes of Carryover |
平成28年2月以降の研究活動において、旅費や物品費等の支出が必要となることを予想し、一定程度の研究費を残していたが、本務校での業務と健康上の理由により、次年度に繰り越す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集に若干の遅れが見られるので、その分野での調査活動に次年度私用が相当分を充てる計画である。
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