2015 Fiscal Year Research-status Report
移民・外国人の包摂と排除に対する「国民意識構造の影響」に関する国制史的考察
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26380172
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
梶原 克彦 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (10378515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国民意識 / 少数民族問題 / 移民・外国人問題 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国民意識の構造が移民・外国人の包摂と排除に与える影響を、国家形態の違いに応じた国民意識の変容に注目して考察している。 本年度に進めた内容は主に以下の三点である。第一に先行研究の文献収集ならびに読み込みを行い、移民・外国人や少数民族など、非ドイツ系住民に対する政策と国民意識の構造との関連について把握することに努めた。また移民・外国人問題を通時的のみならず、共時的に考察する手かがりを得るため、イギリス、フランス、ドイツの事例に関する文献の収集・読み込みを行った。 第二に、資料収集を行った。まず国内において公刊資料などを貸借・複写により収集した。次いでオーストリアの事例・移民・外国人問題に関する資料を収集するために、オーストリア国立図書館、オーストリア国立文書館、ウィーン大学図書館において資料収集を行った(実施期間は平成27年6月29日から7月15日)。さらに6月11日から平成28年3月11日までのイギリス(ロンドン)在外研修時に、上記資料に加えて、英仏独の移民・外国人問題に関する資料を、英国図書館、イギリス公文書館、ロンドン大学各図書館、において比較研究のために収集した。 第三に、上記の作業から得られた研究の成果と進捗状況の確認のため、学術論文の執筆ならびに研究会での報告を行った。また研究打ち合わせなどで情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で示した5つの区分について、おのおの研究および作業を進めることができた。 基礎分析については、オーストリアの移民・外国人や少数民族などに関する政策を、特に第一次大戦から大戦後の時代にかけて、先行文献を収集・整理した。また昨年同様、政策展開に関して新聞・雑誌記事の収集・整理を行った。一方で、これまでの通時的な研究をさらに深化させるために、共時的・国際的な比較分析の手がかりを得るべく、イギリス、フランス、ドイツの事例に関する文献の収集・整理を行った。 つぎに、国内での資料収集を行った。昨年度に続き、国内の図書館からの貸借・複写によって基礎分析に必要な資料・文献を収集し、読解を進めた。 海外での資料収集は、ウィーンで平成27年6月29日から7月15日までオーストリア国立図書館、オーストリア国立文書館、ウィーン大学図書館において、イギリス(ロンドン)在外研修中(6月11日~平成28年3月11日)に英国図書館、イギリス公文書館、ロンドン大学各カレッジ図書館において行った。 残りの2点に関しては、まず他の研究者との意見交換については、研究会出席・研究打ち合わせの際にこれを行った。成果発表については、上記の基礎分析ならびに資料収集で得られた成果の一部を含めて、捕虜に関する書評や帝政期保守派の国民イメージに関する研究ノートを執筆し、また研究会で現代オーストリアの保守派(右翼ポピュリズムとの関連を含む)に関する報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎分析については、まず前年度に海外で収集した資料の分析と整理を行う。とくに、少数民族や移民・外国人への対応や政策について、国際比較へ向けた事実の把握と理論的アプローチの検討を進める。 国内での資料収集は上記の基礎分析に必要なものに合わせて、これを行うこととする。相互貸借・複写、インターネットの利用に合わせて、所蔵館に直接赴く場合には、時間と経費を考慮して長期休暇中に行う。 海外での資料収集は、オーストリア、ならびに前年度同様比較の観点を踏まえるためドイツ、イギリスの図書館・文書館で行う予定である。時間と経費を有効に活用するため、これらの図書館・文書館を訪問する際は事前に所蔵・利用状態を照会する。 上記の作業から得られた研究成果と進捗状況の確認のため、また前年度に得られた知見の公表のため、学会・研究会で報告し、学術論文を紀要や学会誌に投稿、公刊する予定である。
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Research Products
(1 results)