2014 Fiscal Year Research-status Report
ポスト共産主義諸国の政治・行政・経済エリート:ロシアとウクライナ
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26380183
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (20431348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウクライナ / ロシア / 国際研究者交流 / エリート / ウクライナ危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究成果は、2013年までに執筆を終了していたロシアの支配政党である統一ロシアとインド国民会議派、中国共産党を比較した英語論文、ロシア政治の概説書への寄稿(2章分)と、2014年度に執筆し、近刊が予定されているウクライナ政治体制論の計4本の論文になる。また、学会報告は、2件であり、一つは公刊論文に基づいて、他の地域研究者と権威主義体制下の選挙と議会に関して知見の共有を目的とした全国学会報告と、ロシアの立法過程に関しての国際学会報告である。 このうち、近刊のウクライナ政治体制論は、東西に分裂しているとしばしば考えられているウクライナ政治は、東西二極分裂ではなく多くの閥に複雑に分裂しており、にもかかわらず、それぞれの閥は決して分離主義的ではなく、中央政界へのルートが開かれることで求心力が働いており、「求心的多頭競合体制」として特徴づけられることを主張した。この論文執筆には、本研究助成によるキエフとリヴィウでの現地調査の成果が反映されている。特にリヴィウでの現地調査では、州国家行政府職員などへのインタビューから、ウクライナにおいて、かなり大規模な猟官制が成立していることに関しての知見が得られた。 本研究助成以前に執筆を終了していた三本の論文は、それぞれ、統一ロシア党、ロシア大統領府、ロシア議会に関するもので、本研究助成とも密接な関係がある。またすでに公刊された論文に基づいていたとはいえ、全国学会での報告は貴重なフィードバックが得られたほか、ロシアの立法過程の国際学会提出論文に関しては、今年度中の公刊を目指している。 なお、エリート・データベースの構築に関しては、遅れがみられる。本研究課題を構想中の2013年秋には予想もしなかった、ウクライナ情勢の急変を受けてその分析にエネルギーを割かざる得なかったためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公刊成果物に限ってはおおむね順調であるが、エリート・データベースの構築が遅れている。これは研究構想段階では予想しえなかったウクライナ情勢の急変により、その分析に大きなエネルギーを割かざるを得なくなったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は、日本のスラヴ・ユーラシア研究の総力を挙げての国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)世界大会の日本開催の年であり、ここでの組織・報告を成功させることがまず肝要である。またここで世界から集結する研究者のネットワークを拡大し、データベースに必要な情報収集に利用する。 前年のウクライナでの現地調査も継続するが、本年はロシアでの現地調査も必要になる。ロシアの現地調査では、研究協力者の力も借りて、ロシア経済エリートの調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
ウクライナのドニプロペトロウシクでの現地調査が3月下旬になったため、次年度の執行としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに現地調査は行っており、2015年度早期に執行されるはずである。
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