2015 Fiscal Year Research-status Report
ポスト共産主義諸国の政治・行政・経済エリート:ロシアとウクライナ
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26380183
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (20431348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エリート / ロシア / ウクライナ / 政治体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の研究実績は、2本の雑誌論文、1つの章(近刊予定)、および1つの国際学会報告と書評が2本(近刊予定)である。このうち、5年に一度開かれる国際中欧・東欧研究評議会世界大会で報告したものは、本研究課題の助成により構築中のエリートデータベースを使用したもので、もっとも著名なロシア政治経済研究者のひとりP. Rutlandが近著で言及するなど、一定の国際的評価を得つつあり、この論文を刊行することが2016年度の大きな目標の一つになる。またこれに付随して、ロシアのエリート研究に関する論文集の書評を、アメリカの代表的なロシア史研究誌Russian Reviewに依頼されて執筆した。2016年6月近刊予定である。 2つの雑誌論文のうち、1つはウクライナの政治体制を「求心的多頭競合体制」として概念化したもので、ウクライナの政治体制に一定の見通しをつけることを目指した。もう1つの論文はロシアの立法過程に関して、統一ロシア党が大多数を占める議会での予算形成を中心に考察したものである。なお統一ロシア党に関しては、最近邦語で現れた研究文献の書評を執筆した。これも近刊予定である。 さらに、ウクライナの政治体制を論じた雑誌論文とある意味対を成しているのが近刊予定(原稿提出済み)の研究報告書論文「ロシアにおける混合体制の成立変容」である。こうして、本研究課題の対象の二国である、ロシアとウクライナの政治体制に関しての見解を公にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアの行政エリート研究に関しては十分な進展が見れるが、政治、経済エリートに関してはあまり進めることができなかった。また、ドネツクが戦争状態になるなど、ウクライナの現地調査が、本研究計画応募時より著しく困難になったために、ウクライナに関しては一定の軌道修正が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシアの行政エリートに関しては、数か月以内にまとめ上げ、本年度中の公刊を目指す。また、ロシアの政治(議会)エリートのデータベースの構築を進める。このデータベースに基づいて、議会エリートの専門化度を体系的に考察することが可能になろう。 ウクライナに関しては、ドネツクなど紛争地域での現地調査が困難になっているので、一定の軌道修正が必要である。現地調査からドネツクを除外し、キエフを中心として、その他はオデッサなど研究代表者がまだ調査をしたことのない地域への調査へと切り替える可能性を探る。
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Causes of Carryover |
ウクライナ現地事情の悪化などに伴い当初予定していた現地調査縮小せざるを得なかったことや、在外研究を次年度に控え学内業務などが予想以上に多忙になったため、データベースに構築のための費用を使用しなったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は研究代表者が在外研究に出たため、学内業務から免除される。したがって、データベースの構築に割く時間的労力、現地調査などへの期間的制約がなくなるため、データベース構築と現地調査に本研究課題の資金を使用する予定である。
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