2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380184
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 唯一朗 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (70361673)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 選挙制度 / 選挙区 / 日本政治 / 歴史的制度論 / 比較歴史制度分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目となる2015年度は、在外研究から帰国し、本格的に本研究を進め、成果を上げることができた。予定していた比較歴史制度分析と、歴史制度論による旧藩時代からの継続性の検討を進め、5月に行われた日本選挙学会では「選挙区はどう作られたのか―近世・近代の連続・非連続から考える―」と題して報告し、6月に行われたパリ社会科学高等研究院でのセッションでは"Reformatting Elite in Modern Japan"と題して中央における官僚エリートの形成と、地方における政治エリートの育成を対比的に論じた。7月には国際日本文化研究センターの研究会において「制度の政治史から制度の文明史へ」、10月には九州史学研究大会において「制度の政治史」と題した講演の中で選挙制度の展開について発表し、秋学期から派遣された台湾では政治大学、台湾大学、中央大学、輔仁大学、台中科技大学、中興大学などで8回にわたって研究発表を行い、2016年3月にはスペイン・バルセロナ、マドリードで3回の報告を行った。なかでも日本選挙学会で行った報告は、最優秀ポスター発表賞を受賞することとなり、現在、その内容について日本政治学会『年報政治学』の招待論文として執筆を進めている。 なかでも、特に研究の必要性を感じ、重点的に調査を進めているのは、旧藩時代の連続性に関する部分である。この点については、各都道府県の公文書館、図書館のご協力をいただき、悉皆的な調査を進めているが、資料の量が膨大であり、当初予定していた政争県にとどまらない分析が必要であることを痛感している。 概して研究は順調に進んでいるが、研究代表者が予想していた以上に、同分野、隣接分野の研究者の関心も高く、当初予定していた3年で最終的な目標に達するよりは、より時間をかけて、発展的な研究課題につなげていく必要と可能性を強く感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記したとおり、当初予定していたアプローチのうち、比較歴史制度分析と歴史的制度論による研究の部分は順調に進捗している。海外での報告も昨年度だけで12件行っており、順調に発表を行なえている。 他方、秋学期に台湾に長期派遣されたこともあり、歴史GISとの連携はまだ準備段階にある。年度後半に入ってようやく高い関心を持ってサポートしてくれる学生を見出すことが出来、当人とのあいだでデータの作成をはじめたところである。この点については最終年度にできうる限りの進捗を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
選挙区制度の創始と展開という研究上のアポリアに対して、研究代表者が考えていた以上に当該分野の研究者の関心は高く、5月に行った日本選挙学会でのポスター発表では、ポスターの前に常時20人近い研究者が集り、盛んに議論することができた。この議論の結果、展開の可能性が多く判明し、予定していたよりも丹念に比較歴史制度分析と歴史的制度論の部分に重点的に研究対象を定めて進めている。 他に類似する研究を進めている研究者もいないことから、まずはこの部分をしっかりと史料的にも分析的にも固めて行く必要があると考えている。歴史GISを軸とした新しい方法による分析は、得られたデータを用いて3年目にパイロットリサーチとして着手し、発展的な研究課題として次に続けていけるよう進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
2015年度秋学期に台湾へ派遣されたため、この間予定していた歴史GISの構築を行う技術的環境になく、この部分は2016年度に延期して行う必要が生じた。そのため、研究補助アルバイト費を中心に次年度への繰り越しが生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、当該部分のデータ整備と分析は2016年度に行う予定であり、人材も確保している。順次、前年度分の計画を進めていきたい。
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Research Products
(10 results)