2016 Fiscal Year Research-status Report
南欧クライエンテリズムの再浮上:ポスト新制度論アプローチによる比較分析
Project/Area Number |
26380186
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | クライエンテリズム / 南欧 / 政治腐敗 / イタリア / スペイン / ギリシア / ポルトガル / 政党政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画3年度目に当たる2016年度については、これまで収集したデータの再検討と必要な補足調査、関連する理論研究の検討、最終成果慣行に向けた準備が主な作業となった。 2017年2月・3月とイタリアを中心に2度の現地調査を実施し、特に選挙制度の設計と、クライエンテリズムとの関係について、インタビューと資料収集を行った。選挙関係、腐敗関係など公刊データの収集・整理を進めた他、これらを基に比較論文を執筆する準備作業を行った。 関連する公刊論文としては、田近肇氏との共著論文[(2016)「第VI イタリア」、駒村圭吾・待鳥聡史編『「憲法改正」の比較政治学』、弘文堂、293-318頁、2016年7月1日刊行]の担当部分において、憲法を含む政治制度設計と政党政治・執政のリーダーシップとの関係などを論じた。また単著論文[「第9章 イタリアにおける保守主義政党──「例外」としてのフォルツァ・イタリア」、水島治郎編『保守の比較政治学──欧州・日本の保守政党とポピュリズム──』、岩波書店、221-243頁、2017年7月刊行]では、フォルツァ・イタリアを筆頭とするポピュリスト政党の組織・イデオロギーと党派性・利益動員との関係について、比較の視座を交えて明らかにした。また前年度から取り組んできた単著論文[(2016)「イタリアにおける移民ケア労働者導入と家族主義レジームの『再家族化』」、新川敏光編『国民再統合の政治』、ナカニシヤ出版、2017年6月刊行予定]では、福祉政策とクライエンテリズム、特に南欧レジーム型の文脈について検討した。 また国際研究集会において、イタリアと日本の統治制度の設計とレントの関連性に関する考察を発表したが、この内理論部分とイタリア部分の議論は、本研究の成果でもある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集・インタビュー調査はほぼ終了し、関連するテーマの内で、選挙政治との関連を重視した分析を行う方向で、研究成果の取りまとめ準備が出来ている。それに関連して、予備選挙や国制選挙制度に関する関連調査を基にした国際ワークショップでの研究報告も実施してきたほか、予備的な関連研究成果となる論文も公刊か公刊済みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度は計画最終年度に当たるため、最終成果としての論文公刊を行う。具体的には、9月頃の学内誌に関連論文の投稿を予定している。それを前提に、海外学会の報告プロポーザルを執筆し、英語でのワーキングペーパーの執筆と国際学会報告などの成果公刊も行う。 その他、必要に応じて補足的な現地調査を9月および2月から3月に実施して、今後の研究企画に発展させていく。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたポルトガルなどの現地調査が、学内業務によって実施できなくなったため、そのために確保していた旅費が未使用で残った。また、イタリア調査について、関連する他の科研と合算したことで航空運賃などを支出できたことで、予定した費用が節約できた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度夏もしくは冬の現地調査やデータ収集作業に用いる。
|
Research Products
(5 results)