2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Researgence of Political Clientelism in Southern Europe: Comparative and Post-institutionalist Analysis
Project/Area Number |
26380186
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | クライエンテリズム / 選挙 / 政治腐敗 / 利益誘導 / 政党政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、南欧におけるクライエンテリズムの現代における再浮上について、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシア4カ国の比較を行いながら特徴を明らかにすること、従来の新制度論的説明を踏まえた新たなアプローチによる分析を行うことを目的とした。 現地調査については、中心となるイタリアの事例について実施した。ポルトガルについては学内業務のため調査出張を中止せざるを得なかった。対象の4カ国については、基礎的なデータおよび関連する文献や資料を収集して、議論の補強に努めた。 理論的には、大統領化など集権化に伴う裁量の増大をはじめとして新制度論的な制度環境を所与とした合理的選択としてクライエンテリズムの再浮上という理解が重要であることは否定できない。しかしながら、政治的競争の増大やヴァレンス争点への依存の増大などの環境変化が、パトロンとクライアントの戦略的依存環境において、クライエンテリズム的な利益配分によるレントの意義を高めていることが明らかになった。そのことは年金介護など福祉政策や、大規模災害の特別立法、経済危機下の雇用政策などの事例に反映されていた。 最終的な論文の公刊は、所属研究機関の異動や学位論文の提出と学位取得のために2017年度末にまでに完了させることができなかった。しかし、2018年2月から5月にかけて、イタリア総選挙関係の新聞論説などで、汚職などヴァレンス争点の意義など、研究成果を含む一般向け原稿を公開した。さらに、2018年度前半には、世界政治学会(International Political Science Association)にて関連論文とそれに関する報告を実施することに加えて、9月には学内研究会において最終成果となる論文に関する報告を行う予定である。同報告と論文は修正の上、所属研究機関の査読誌か、外部の学術誌に投稿する予定である。
|
Research Products
(3 results)