2017 Fiscal Year Annual Research Report
War of Information on the Siberian internment returnees between USA and USSR
Project/Area Number |
26380188
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (30115547)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | シベリア抑留 / 米軍舞鶴尋問 / プロジェクト・スティッチ / プロジェクト・リンガー / 731部隊 / ハバロフスク裁判 / ラストボロフ事件 / インテリジェンス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成29年度は、これまでの研究成果をまとめ、書き下ろし単著『「飽食した悪魔」の戦後ーー731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社、2017年)中に特別の一章を設けて、発表した。具体的には400頁の大著である同書の第3部「731部隊の復権と二木秀雄の没落」中に第2章「シベリア抑留と米ソ情報戦」を設け、「もう一つの国内冷戦ーーシベリア抑留帰還者と731部隊」「ドイツ240万人、ハンガリー50万人、日本60万人の強制奴隷労働」「ソ連で戦犯とされた731部隊抑留者、洗脳教育と民主運動」「帰還者米軍尋問ーー陸軍プロジェクト・スティッチと空軍プロジェクト・リンガー」「陸軍プロジェクト・スティッチで見つかった『ソ連スパイ』352人」「『中村清之丞ファイル』ーー米軍が抑留尋問で得た731部隊情報」「『人間GPS』としての米空軍プロジェクト・リンガー」について、詳述した(269-284頁)。 シベリア抑留者に対する舞鶴港帰還時米軍尋問を、米国国立公文書館所蔵の尋問個票にもとづき、陸軍プロジェクト・スティッチ、空軍プロジェクト・リンガーの双方について、日本で初めて論じた。またその副産物として、ソ連における第二次世界大戦時戦争捕虜についてドイツと日本を比較し、強制労働・飢餓のほか、収容所内思想改造・忠誠誓約、政治・軍事情報と共に地政学・地理情報収集が行われ、ドイツ人捕虜240万人へのソ連側の扱いが日本人捕虜60万人に対して適用されたこと、米国側もそれを察知してドイツ人帰還者・日本人引揚者の双方の情報を第3次世界大戦に備えて収集してきたインテリジェンスがあったことを明らかにした。また米軍占領機構内では、ウィロビー少将の率いる参謀2部(G2)内に、主としてプロジェクト・スティッチを扱うG2歴史課のほか、プロジェクト・リンガーを扱うG2地理課があったことを、明らかにできた。
|
Research Products
(5 results)