2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the Governance Network for Nuclear Policy in Japan
Project/Area Number |
26380194
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
風間 規男 同志社大学, 政策学部, 教授 (50257961)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガバナンス / ネットワーク / メタガバナンス / 原子力政策 / 原子力ムラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、原子力政策をめぐるガバナンスネットワーク(原子力ムラ)を研究するうえで前提となる理論研究の部分を完成させた。欧米におけるガバナンスネットワーク理論の動向を踏まえつつ、オリジナルな分析の枠組みの構築を試みている。従来のガバナンスネットワーク理論は、静態的な研究が主で、ネットワーク構造がダイナミックに変化するプロセスについての動態的な研究が不十分であると批判されてきたが、ネットワーク構造が変化する要因について、アクター間の相互作用の積み重ねによる制度化のプロセス、メタガバナンス理論に基づくメタガバナーによる脱制度化のプロセスという2つの観点から議論を展開するものである。これと関連して、ガバナンスネットワーク分析をローカルな視点で捉え直したローカルガバナンス論に関する理論的な論文も公表した。 実証研究の部分については、各種関連資料の蒐集・分析や関係者に対するインタビュー調査を通じて、上記の分析枠組みのもとで、1960年代に原子力体制が作られてから原子力発電所が全国に立地されるようになり、福島第一原子力発電所の事故に至るまで、ガバナンスネットワークがどのようにして構造変化を遂げ、それが原子力をめぐる様々な政策の内容にどのように影響を及ぼしたのかを明らかにした。同時に、福島第一原子力発電所事故以後に、ネットワーク内に展開されている水平的な調整ゲームの構造がどのように変化したのかについても、アクターごとの利益の変化と資源の変化に着目して研究を行った。 日本の原子力政策に関して、アクター間で形成されている関係性全体から捉えるガバナンスネットワーク分析を行うことで、原子力体制のあり方について一定の知見を提供することができたと考える。
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