2016 Fiscal Year Annual Research Report
Max Weber and Otto Kirchheimer on Distrust of Party Politics
Project/Area Number |
26380195
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野口 雅弘 立命館大学, 法学部, 教授 (50453973)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政党 / 政党不信 / マックス・ウェーバー / カール・シュミット / オットー・キルヒハイマー / ゲオルク・ジンメル / 丸山眞男 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日、既成政党への不信が高まっており、それを背景としてポピュリズム的な動きが世界的に広がっている。こうした状況において、政党不信の言説について批判的に検討する必要があり、本研究はそれを試みたものである。具体的には、、ウェーバー、キルヒハイマー、ジンメル、そしてシュミットの「政党」「党派」に関する理論を検討した。 まず、ウェーバーの政治理論における「政党と政党組織」に関する研究を進めた。その中で「職業としの政治」を新たに翻訳し、現在、刊行の準備をしている。 次に、キルヒハイマーについては、ドイツのグライフスヴァルト大学著作集編纂チーム(ブーフシュタイン教授)からも情報提供を受けつつ、「包括政党」テーゼについての検討をした。今日の政党不信の一つの始まりが、1950 年代の「対抗性=野党の衰退」にあるという彼の理論の意味を明らかにした。また彼がアメリカ亡命中に執筆したSecret Reports on Nazi Germany: The Frankfurt School Contribution to the War Effortの翻訳作業を進めている。 研究の成果の一端は、「ウェーバー――カリスマの来歴と変容」『岩波講座 政治哲学〈4〉国家と社会』岩波書店、2014年、「〈官僚なきテクノクラシー〉の反知性主義――キルヒハイマーの「包括政党」再論」『現代思想』2015年2月、「ゲオルク・ジンメルとカール・シュミット――ベルリン、シュトラスブルク、そして「社交」」『ジンメル研究会会報』21号、2016年3月などで発表した。中野敏男ほか『マックス・ヴェーバー研究の現在: 資本主義・民主主義・福祉国家の変容の中で』創文社、2016年に執筆した「マックス・ヴェーバー研究の現在「1964年の丸山眞男とヴェーバー研究――「複数の近代」multiple modernitiesをめぐって」も、本研究の成果の一部である。
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