2015 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ連邦上院の政治過程における機能の変容と熟議民主主義の展望
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26380197
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アメリカ議会 / 民主主義 / 熟議 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、まず移民法改正をめぐり議会がこれまで展開してきた議論の整理をおこなった。データベースから収集できる公聴会記録および議事録を用いて、分割政府状態のもとでの合意形成の試みと限界、テロとの戦いが政策形成にもたらした負の影響、議会の硬直状態のもとでの行政命令の試みと反動という3つの局面を中心として、移民法改正をめぐる重要な論点とその根拠をまとめた。あわせて、新聞および議会に特化した雑誌の記事を用いながら、法案作成に関わる議員の立場と行政府や市民社会のアクターの動向を整理した。特に選挙の争点としての非合法移民の問題が、異なるアクターに対してもたらした影響と、それによって移民法改正問題が政治過程で持つ意味がどのように変容したのかについて情報を収集した。 2015年秋に2回目のワシントンでの聴き取り調査を実施した。議員事務所で移民法担当のスタッフから議会内の調整作業に関する情報を収集したほか、超党派での政策形成をめざすBipartisan Policy Center で移民法を担当する研究者から、現在の移民法をめぐる課題と立法の見通しについての情報を収集した。同時に、議会図書館にて移民法改正にかかわる背景的な文献の収集をした。 その上で、これまでの分析の中間的な取りまとめをおこなった。移民法改正問題が持つ政治的な側面と政策的な側面の接合面で、分割政府状態にある各アクターによってどのような動きが展開されたかを確認した。そうした動きがアメリカの非合法移民問題の本質的な問題の解決において、どのような政治的影響を与えてきたのかについて分析し、紀要論文として"Bipartisan Challneges: Policies vs. Politics"を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は主要な議員事務所と市民団体に対して実施できた。資料収集も予定通りに進行している。中間報告としての論文も刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は最終年度であるため、事例研究である移民法改正をめぐる公聴会および本会議の議論を分析するとともに、補いきれていない情報についての聴き取り調査を実施して補足する。年度の後半は分析結果の取りまとめ作業にあて、暫定的に紀要論文として発表すると同時に、学会誌への投稿の準備をおこなう。あわせて口頭発表の機会を求めていく。
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Causes of Carryover |
発注した文献が未着のために生じた差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した30,742円は、既に発注済みの図書の経費で、2016年度の受け入れ額のうち、物品費として計上している額に追加して使用する。その他の予算項目においては、当初の使用計画からの変更はない。
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Research Products
(1 results)