2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Presidential Leadership in Semi-Presidentialism: A Taiwan Case
Project/Area Number |
26380200
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 台湾 / 半大統領制 / リーダーシップ / 党団協商 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、台湾の総統(大統領)のリーダーシップを制約する条件を指摘し、実証的に検討した。台湾の半大統領制では、総統は執政府の実質的なリーダーとして、政策課題の実現に向けてその意向を政策案に反映されることができる。しかし、政策決定は議院内閣制のそれに類似することから、政策案の立案や審議に関わる作業は行政院に委ねざるを得ない。また、大統領制と同様に、総統と立法院の間には権力の分立という特徴が見られることに加えて、総統が有する立法権限が小さく、議会解散権も限定的であるため、総統は行政院が提出した政策案に与党議員の支持を取り付けるための制度的な手段を持たない。そのため、総統は非公式な手段もしくは非憲法的な仕組みに頼らざるを得ず、与党の政党組織を通じて影響力の行使を図ることになる。事実、歴代の民選総統はいずれも与党党首を兼任している。 とはいえ、総統が政党規律によって与党議員の支持を取り付けるのも容易ではない。その理由は、第一に、立法委員選挙(議会選挙)における個人投票の重要性である。第二に、議会ツールとりわけ「党団協商」と呼ばれる議会制度の存在である。党団協商では、議案(政策案)の内容に関する実質的な審議が「党団」(会派)の代表者という少数者による密室での協議に委ねられるため、与党議員は党執行部の目の届かないところで影響力を行使することができる。さらに、党団協商という議会制度の存在が、議案を党団協商に持ち込むか否かを判断し、それを主宰する権限を握る立法院長(議長)の影響力を高めることになった。 こうした分析を踏まえて、中国と台湾の間で調印された2つの協定(「海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)」と「海峡両岸サービス貿易協定」)の立法院での審議過程を取り上げて、台湾の半大統領制における政策決定の特徴を指摘し、総統のリーダーシップが左右された要因を実証的に明らかにした。
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Research Products
(2 results)