2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380204
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
草野 大希 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (90455999)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は19世紀以降の国際社会で行われてきた様々な種類の介入政策を比較検証し、「不干渉」を基本原則とする国際社会がどのようなプロセスを経て「正当な介入」を定義し追求してきたのかを、複雑システムの理論枠組みから総合的に解明するものである。
本年度の研究実績は大きく分けて二つある。第一は、19世紀ウィーン体制下の欧州で実施された介入事例に関する政策決定および実施過程に関連した文献・資料収集である。具体的には、ナポリとピエモンテに対する英仏露による共同介入(1821年)、スペインに対する仏による介入(1823年)、およびこれらの介入の是非を討議した多国間会議(トロッパウ会議、ライバッハ会議、ヴェローナ会議)、ギリシャに対する英仏露による共同介入(1827年)、シリアに対する仏の介入(1860-61年)等に関連した文献・資料を、外交史や国際法学の研究者によって執筆された二次資料(書籍や雑誌論文)を中心に収集した。ただし、これら文献・資料に基づく分析を十分に進めることはできなかった。 第二は、欧州と西半球との間の相互「不干渉」を提唱した「モンロー主義」(1823年)が、どのようにその後の米国の介入政策における多角主義(multilateralism)の淵源になってきたのかを明らかにした。近年の国際政治学における米外交論では、モンロー主義は米国の単独主義と結びつけられる傾向が強い。しかし実際には、モンロー主義は多角主義の淵源ともなり、国際的に正当な介入の制度化にも貢献してきたのである。この点を明らかにした論文「モンロー主義とアメリカの介入政策―単独主義と多角主義の淵源となった外交理念のダイナミクス―」を『アメリカ研究』(第49号)において刊行した(査読付き)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では19世紀ウィーン体制下の欧州における介入政策の検証を完了する予定であったが、学務・教務による多忙に加え、本研究とは別の研究にも携わることになった関係から達成度に若干の遅れが生じている
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、平成27年度は、冷戦時代の米ソ両陣営内で行われた介入事例に関する政策決定および実施過程の考察を行う予定であった。だが、その一部である冷戦時代の西半球における米国の介入政策の検証については、上記のように平成26年度に一部着手し他ので、若干の時間的余裕がある。よって、平成27年度には、平成26年度内で十分に達成できなかった19世紀ウィーン体制下の介入政策の分析も並行して行いたい。 本研究における現状での最大の課題は、考察内容や分析手法というよりも、十分な研究時間をどのように確保するかである。適切な時間管理・時間配分を心掛け、今後の研究の推進を図ってゆきたい。
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