2016 Fiscal Year Research-status Report
バルト諸国の移民と政治:「メモリーとアイデンティティ」に関する問題の考察を通して
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26380210
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 祐馬 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50234109)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メモリー / アイデンティティ / 歴史認識 / 移民と政治 / エストニア / ラトヴィア / リトアニア / ロシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、移民の政治行動について、民族の歴史認識と密接に結びついた「集団的メモリー」とそれを核とする「ナショナル・アイデンティティ」の形成をめぐる問題との関連において、エストニアをはじめとするバルト諸国におけるロシア語系住民の社会統合問題の考察を主たる研究課題とするものである。本研究の研究計画は、大きく分けて、(1) 移民のメモリーとアイデンティティおよび移民の政治行動に関わる問題についての理論もしくは思想、先行研究の整理と考察、(2) バルト諸国における移民の政治行動をめぐる議論を踏まえた移民のメモリーとアイデンティティに関わる問題についての調査と分析、(3) これら調査・研究データの分析に基づくバルト諸国における移民の政治行動およびメモリーとアイデンティティをめぐる問題とのバルト諸国における移民の政治行動との連関性についての比較的視点を交えた実証分析、という踏まえるべき3つの段階から構成されている。本年度は、昨年度における研究を発展的に継続する形で、主として、上記(3)に掲げたバルト諸国における歴史認識問題と移民の政治行動との連関性について、比較的視点を交えて、本研究の主たる研究対象となっているエストニアとラトヴィア両国の事例研究と並行して、隣国リトアニアの事例に関する研究活動を行った。本年度におけるこうした研究上の取り組みは、本研究の主たる課題であるバルト諸国における歴史認識問題と移民の政治行動との関係性をめぐる問題を総括的に検討する上で踏まえるべき主たる知的作業であると位置づけることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、リトアニアを含めたバルト諸国における歴史認識問題とロシア語系住民の政治行動に対する同問題の影響をめぐる議論を中心に、これらバルト諸国におけるロシア系住民を中心とした移民外国人のメモリーとアイデンティティに関わる問題についてのこれまでの調査研究活動の成果を踏まえて、研究計画書に記載したバルト諸国におけるメモリーとアイデンティティに関わる歴史認識問題とこれら諸国の移民の政治行動との連関性についての比較的視点を交えた実証分析を中心に課題研究の遂行に向けた一連の作業に従事した。具体的には、主に、関連のバルト諸国における補助的な研究資料の収集および国内外の調査活動を行い、これまでの研究成果を踏まえた最終的な取りまとめのための研究活動に従事した。しかし、所属大学院の改組に関わる責任者としての事務的作業や研究分担者としての他の科学研究費による研究活動等との関係で、本研究に関わる当初の計画が遅れてしまい、研究成果のアウトプットという点で満足のいく結果を得られなかった。それ故、研究延長のために新たに提出した申請書にも記載した通り、これまでの研究成果を学術論文の公表および報告書の作成という形で示すことを企図して、当初の計画をさらに一年間延長した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、平成29年度が延長不可の最終年度となるので、これまで蓄積した調査・研究データを踏まえて、バルト諸国におけるメモリーとアイデンティティに関わる歴史認識問題と当該諸国の移民の政治行動との連関性についての比較的視点を交えた実証分析をさらに進め、学術論文の執筆および報告書の作成など研究成果のアウトプット面での研究活動を中心に、本研究課題の最終的な総括に向けた作業を最優先で遂行していく。具体的には、最終的な研究成果のアウトプット面での充実のための補助的な文献研究および当該問題に関する調査活動を着実に行い、同課題に関わる学術論文の公表およびこれまでの研究成果をとり纏めた研究報告書を冊子体の形式で作成したいと考えている。すでにエストニアに関わる事例研究についてはとり纏めのための作業をほぼ終えているので、今後の進めるべき研究作業としては、リトアニアの事例を加味しつつ、ラトヴィアに関わる事例研究の遂行に力点をおいて従事し、研究成果のアウトプットという観点を重視しつつ、本研究課題全体についての最終的なとり纏めのための研究作業に取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題の当初の研究期間は3年間であったが、学術論文の公表などアウトプット面での作業が満足のいく形で予定通りに進まず、研究期間をさらに1年間延長することにした。こうした経緯との関係で、調査活動の継続および報告書作成のための必要経費分を次年度に繰り越す手続きを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分の経費については、補助的な研究資料の収集を目的とした調査旅費および研究報告書の作成のための支払いに充当することを計画している。
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Research Products
(4 results)