2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本における対中政策の形成過程――チャイナ・スクールの実像を求めて
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26380216
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
服部 龍二 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80292712)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア外交を中心として、対外政策にかかわった人物らに聞き取り調査を実施した。 また、条約局法規課長、条約局条約課長、大臣官房人事課長、条約局長、北米局長、駐マレーシア大使、外務審議官、外務事務次官、駐米大使などを歴任した栗山尚一大使について、『アジア時報』に連載された「戦後日本外交の軌跡」を軸としながら、さらに3本の論考を分析、精査して、栗山尚一/服部龍二編『戦後日本外交 軌跡と課題』(岩波書店、2016年)として刊行した。 この間、栗山尚一大使は沖縄返還には条約課長補佐として、日中国交正常化には条約課長として深くかかわり、湾岸戦争では次官として対応を迫られた。駐米大使期の多くは、クリントン政権の時代である。栗山の略歴と年表については、同書、266-271頁を参照していただければ幸いである。 栗山は『アジア時報』以外でも、多くの論考を発表していた。『戦後日本外交 軌跡と課題』を編集するに際しては、可能な限りすべての著作やインタビューを読み直し、単行本や論文などについて目録を作成した。その成果は、栗山尚一元駐米大使著作目録」(『中央大学論集』第38号、2017年)として発表した。 政治家については、日中国交正常化を導いた田中角栄の足跡をたどり、拙著『田中角栄──昭和の光と闇』(講談社現代新書、2016年)として刊行した。日中戦争期については、松岡洋右外相に関連して、拙稿「岡村二一『外相渡歐に随伴して』――記者が語った松岡外相訪欧」(麻田雅文編『ソ連と東アジアの国際政治 1919-1941』みすず書房、2017年2月)として史料を翻刻、分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、単著、共著、編著を刊行したほか、分析の対象を拡大しながら、「中曽根康弘──新冷戦を越えて」(増田弘編著『戦後日本首相の外交思想──吉田茂から小泉純一郎まで』ミネルヴァ書房、2016年9月)291-310頁、「田中首相・ヒース首相会談録──1972年9月18、19日」(『外交史料館報』第29号、2016年3月)61-79頁などの短編や首脳会談記録を上梓している。 また、オーラル・ヒストリーを1、2カ月に1度のペースで継続している。現時点ではその内容を公開できないものの、最終年度には成果として仕上げる方向でいる。 学内出来にも、紀要にその成果の一部を公表してある。 それらのうち、特に史料的な意味合いの強いものに関しては、データベース化し、学術研究レポジトリを活用しながら、外部アクセスを可能にしてある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、元官僚らに対するオーラル・ヒストリーを継続して実施する。 また、政治家についても対象を広げる。 代表的な外交官であり、政治家でもある幣原喜重郎については、拙著『増補版 幣原喜重郎──外交と民主主義』(吉田書店、2017年)を進めている。そこには、文献解題や重要史料数点を盛り込む予定であり、念校を残すのみとなっている。
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Research Products
(2 results)