2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジア地域秩序の展望-国際ルールの形成過程における規範の衝突と融合
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26380217
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
湯澤 武 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (10583883)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 東アジア / 国際規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、主に過去3年間の研究を論文にまとめる作業およびシンガポールで聞き取り調査を行い、主に以下の研究成果を得ることができた。 ①アジア政経学会の学会誌『アジア研究』での論文発表(63巻4号):南シナ海における紛争予防を目的としたルール形成に対する東南アジア諸国連合(ASEAN)の取り組みを考察することを通して、ASEANの取り組みの特徴や東アジアにおける国際ルール形成の仕組みを明らかにした。②国際学術誌『The Pacific Review』に論文が掲載されることが決定:東アジアにおける地域協力の枠組み(ルール形成の枠組み)に対する日本のアプローチを考察し、その特徴を国際関係理論を用いて明らかにした。③2017年度日本国際政治学会研究大会での研究報告:東アジアの海洋安全保障分野における主要ルールとして生まれつつある「南シナ海の行動規範」の形成過程とその展望を、形成過程における中国とASEAN主要加盟国間のバーゲニングの特徴とその影響を国際関係理論を用いて考察することで明らかにした。 本研究の主目的の一つである多国間制度における国際ルール形成に関する理論枠組みの構築については、オリジナリティを生み出すのに苦労したが、2016年度に行った国際学会での報告を基に、文献研究と実証研究を更に進めたことで、枠組み構築の目処がたった。その研究成果の一部をInternational Studies Association(ISA)の第59回年次大会(2018年4月開催)において発表すべく、パネルを組んでプロポーザルを提出し、無事受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度はシンガポール、ベトナム、中国で聞き取り調査を実施する予定であったが、様々な事情により、シンガポールでの調査しか実施することができなかったため、情報取集の面でやや遅れが生じた。しかし実証面の研究では、過去3年間の研究成果として、学術誌上での論文掲載や学会での報告という形で成果を公表することができた。他方、理論面における研究は国際学会における研究報告という成果にとどまっているものの、論文の完成に向けて目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年5月に北京と上海での聞き取り調査および同年秋にベトナム・ハノイ(状況によってはジャカルタ)での聞き取り調査を実施し、本研究に関わる情報収集を完遂させる予定である。 昨年度に立てた計画通りに、2018年度ISA年次大会での研究報告で得たフィードバックを参考にしつつ、理論研究に関する論文を完成させ、本年度中に国際学術誌に投稿することで、本研究を完遂させる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)様々な事情により、予定していた海外調査の一部を実施できなかったこと、また次年度に国際学会での研究発表が決まったことが主な理由である。 (使用計画)2018年4月にサンフランシスコで開催される国際学会での研究発表および海外調査(中国とベトナム)にかかる旅費、また本研究に関連する文献の購入費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)