2015 Fiscal Year Research-status Report
欧州における移民出身ムスリムの排除と包摂:移民を包摂するシティズンシップの構築
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26380218
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (40398912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランス / イスラーム / ムスリム / シチズンシップ / 欧州 / 排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イスラーム国出身者(移民出身ムスリム)を排除しないシティズンシップの構築という課題に取り組む。欧州において包摂型リベラルシティズンシップが定着する一方で、彼らは、 国籍如何に関わらず、そのムスリムアイデンティティとシティズンシップ行使の前提とされる居 住国への帰属意識(市民アイデンティティ)との対立を警戒され、公教育を受ける権利など、シティズンシップの行使において排除されることが多い。具体的には、最多の移民出身ムスリムが 定住し、排除が顕著なフランスを事例に、ムスリムアイデンティティを理由とした包摂・排除の 実態を、(ア)政治参加、(イ)教育、(ウ)宗教実践、(エ)雇用の各政策分野、地域ごとに調査 する。また、その知見を、移民を巡るシティズンシップ研究の内に理論的に位置づける。 本年度は論文として「フランス『共和国』におけるムスリムの社会教育と市民参加」pp.91-122.を執筆し、所収した『排外主義を問いなおす』勁草書房を中野裕二(駒澤大学)、森千香子(一橋大学)、エレーヌ・ルバイユ(パリ政治学院)、園山大祐(大阪大学)と共同編集を行った。また、課題研究として「イスラームと共和国の学校」『フランス教育学会年報』pp41-50.を執筆した。報告に関しては、5月23日、社会デザイン学会で招待講演「フランスにおける統合政策とムスリムの位置」(於立教大学)、10月27日、南山大学欧州研究センター研究会で招聘報告「ムスリム少女・女性の『問題化』」(於南山大学)、11月1日、日本国際政治学会仙台大会で『フランスにおけるムスリム女性の『問題化』」について研究報告を行った。また同じく11月1日、日本国際政治学会仙台大会で「国際政治におけるジェンダー研究の意味」についてラウンドテーブルを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目はムスリムの教育実践と宗教実践についての調査を行い、宗教実践については論文の完成を目指した。しかしながら、宗教実践についてはモスクとの協力関係形成に時間がかかったために調査があまり進まなかった。しかしながら、教育実践については協力関係がうまくいき、予想以上に調査が進み、課題研究という形で執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は雇用分野についての調査及び論文作成と、これまでの各分野の研究を総括し,学会 報告をふまえて、移民を巡る包括的シティズンシップ一般についての総括的論文の作成を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していたフランスへの調査が、テロ事件の影響もあり、不可能になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していたフランスへの調査を行う。
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