2015 Fiscal Year Research-status Report
海外民族動員運動として在日朝鮮人帰国運動の実態研究
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26380220
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
李 泳采 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 准教授 (30460108)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在日朝鮮人 / 帰国運動 / 日米関係 / 日朝関係 / 日韓関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、1950年代半ばから80年代半ばまで行われていた「在日朝鮮人帰国運動」にかかわった朝鮮総連や北朝鮮の役割を中心に、在日朝鮮人帰国運動の目的とその実態を明らかにすることを目的とするものである。特に同時期に北朝鮮当局により展開されていた中国延辺地域とソ連サハリン地域における集団帰国運動を詳細に検討することで「政治的民族動員運動としての在日朝鮮人帰国運動」の全体像を描き出そうとするものである。
1年目の2014年には中国延辺地域を訪問し、延辺大学や朝鮮族の自治州で朝鮮族と北朝鮮関係を調査し、関連書籍をまとめた。その成果は2016年に本としてまとめられた。 2年目の2015年には、日本の川崎のコリアタウン、アメリカのNARA(国立公文書館)、ドイツのベルリンを訪問して調査を行った。川崎のコリアタウンでは在日朝鮮人の集団部落で帰国運動関連者のインタビューを行った。アメリカNARAでは、日米会談や米国の報告書のなかで在日朝鮮人帰国運動に対する認識を調べることができた。ドイツでは在日朝鮮人の北朝鮮への帰国運動が行われていた時期、韓国からドイツに移住させられていた人々の状況を調査し、南北の人の移動の現状をみることができた。 3年目の2016年には、新潟など日本の公文書館にある帰国運動関連文献を調査し、中国延辺での追加調査を行う予定である(8月)。またアメリカでは在日朝鮮人帰国運動当時、米大統領であったドワイト・D・アイゼンハワーの資料館(9月)を訪問し、サハリン地域での調査(2017年3月)も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年アメリカNARAでの研究調査の結果に基づいて、日米関係で在日朝鮮人帰国運動をどう認識していたのかの流れを見ることができた。ただし、業務などが重なり、その文献の分析に基づいて論文としてまとめるにはやや時間がかかっている。また、日米関係を調べている中で、NARAでは米の国務省の担当官の意見などは把握できているが、当時の大統領関連の資料は手に入れることができてないため、全体的な位置づけがまだできてない状況で、2016年には大統領公文書館を訪問し、追加調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の2016年には、まず、新潟の公文書館、学習院大学など日本の国内における在日朝鮮人帰国運動関連1次文献の追加調査を行う。8月には中国延辺での追加調査も行う予定である(8月)。またアメリカでは在日朝鮮人帰国運動の当時、米大統領であったドワイト・D・アイゼンハワーの資料館(9月、カンザス州)を訪問し、日米の間で在日朝鮮人帰国運動をどう決着していたのか、最高首脳部の認識を見ていきたい。そして最後にサハリン地域での調査(2017年3月)を行い、現在まで未調査のサハリン公文書館の資料を確保したい。
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[Presentation] 平和認識と持続可能な対案社会2015
Author(s)
李泳采
Organizer
日韓協定50年の省察と平和共同体の模索
Place of Presentation
東北アジア歴史財団(韓国・ソウル)
Year and Date
2015-06-13 – 2015-06-15
Int'l Joint Research
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