2018 Fiscal Year Research-status Report
冷戦時代の台湾海峡危機の再検証~マルチ・アーカイブ研究による外交史的分析~
Project/Area Number |
26380228
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
松本 はる香 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東アジア研究グループ, 研究員 (90450543)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / 中国外交 / 両岸関係 / 中台関係 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、冷戦期の第一次台湾海峡危機、第二次台湾海峡危機に焦点を当て、マルチ・アーカイブ調査に基づいて外交史研究を行ってきた。特に、① 東アジアの冷戦において、台湾海峡危機がいかに位置づけられるのか、② 米ソ冷戦の対立構造に組み込まれていった蒋介石の率いる国民党政府(国府)が、冷戦における国共内戦や、そのなかで発生した台湾海峡危機をいかに捉えていたのか、について焦点を当てた。また、1950年代から60年代に至る東アジアの国際関係の推移のなかで、③ なぜ台湾海峡危機が「熱戦化」することがなかったのか、についても分析した。さらに、「大陸反攻」をめぐる米台間の立場の違いを明らかにした上で、④ 1950年の蒋介石の「大陸反攻」をめぐる姿勢の変遷、⑤ さらには、台湾海峡危機を経て、中国と台湾の対立の構造がいかに変化したのか、などについても分析を試みた。 本年度は米国、中国、台湾においてアーカイブ調査を実施するとともに、専門家との意見交換の機会を持った。まず、2018年8月、米国(ワシントンDC)に数週間滞在して、米国国立公文書館(NARA)で改めて関連の史料収集を行った。また、ジョージ・ワシントン大学のナショナル・セキュリティー・アーカイブなどで史料収集を行った。また、2018年12月、中国(北京・上海)に滞在した。上海では、華東師範大学当代文献史料中心や、上海市トウ案館などで史料収集を行った。なお、北京では、ごく限定的に外交部トウ案館が公開されているものの、実際の利用は困難な状況にある。このため大学や研究機関の関連の専門家や研究協力者(社会科学院王鍵氏)との意見交換などを中心として、党や軍関連の書店などでの史料収集を行った。さらに、2019年3月、台湾(台北)の中央研究院、国史館などで史料収集を行うとともに、専門家や研究協力者(国立政治大学林果顕氏)との意見交換を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、追加のアーカイブ調査として、米国(ワシントンDC)のナショナル・アーカイブなどにおいて史料調査を行った。また、台湾、中国においてもアーカイブ調査を行った。それらを踏まえて、また、その成果の一部を英語で発表するとともに、目下のところ、学術誌への日本語論文(2本分)の投稿を準備している。また、これまでの本研究におけるマルチアーカイブ調査の蓄積に基づき、目下のところ、研究成果を書籍化するために、専門の編集者と相談しつつ、準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究成果の書籍化などに向けて、引き続き改稿作業を進めるとともに、学術誌などでの発表を準備するとともに、必要に応じて、米国、台湾、中国などにおいて補足的なアーカイブ調査を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
産・育児休業(平成27年1月~28年3月)を取得した関係上、現地調査を実施するタイミングなどが前後していることから、多少の繰り越しが生じている。追加的な史料収集のための現地調査を(米国・台湾・中国などで)実施する予定である。また、必要に応じて、関連書籍や物品(ソフトウェア、ハードウェア)などを購入する予定である。
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