2015 Fiscal Year Research-status Report
エージェントモデルによる地域経済に対する補助金の影響の事前評価の方法の開発
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26380231
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80292077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エージェントベースシミュレーション / 政策効果測定 / 地方都市 / ローカル金融ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画2年目であり、シミュレーションの作成に着手した。一昨年度からの北海道小樽市でのアンケート調査および地域通貨実験の成果を整理し、市内の主要経済主体間の経済的ネットワークを推定した。その基本的な性質を元に、エージェントベース・シミュレーションを作成している。 同時期に、研究代表者が参加する国際政治経済学関係のシミュレーション分析のプロジェクトが開始されたこともあり、そちらで得られた知見も反映することとした。具体的には、エージェントの初期設定をモデルの設計者が恣意的に行うのではなく、基本的な行為原理を設定されたエージェント間の歴史的なインタラクションを通じて、まず、都市における関係性を自生的に構築するようなプレ・シミュレーションを行う。そこで「培養」されたエージェントによって構成される政策効果を推定するシミュレーションを作成した。プレ・シミュレーションを実施することによって、モデルの設計者の恣意性によるバイアスをできるだけ押さえて、結果の一般性、妥当性を高める工夫を行った。その結果として、都市のネットワークは、経済政策の効果を高めるためには必須のものであるが、外的な状況によりネットワークハブが欠落する場合は、べき級数にしたがって、政策効果が減少することがわかった。 追加の調査として、平成27年度に行われた地域振興券に関するアンケート調査を行った。現在はその結果の整理中であるが、平成28年度には、そのデータを用いて作成したモデルの反証研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーション研究は関連分野からの知見の導入により、当初想定していたものとは異なるが、より一般性の高いモデルとなる可能性が高くなってきた。途中での変更により、モデルの感性がやや遅れているが、おおむね順調である。 加えて、当初計画に入っていなかった、地域振興券に関する追加のアンケート調査が取れたため、それを用いたモデルの検証実験が前倒しで可能となった。これは研究進行の可測要件となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究の最終年度であり、モデルの完成と実証研究の突き合わせによる評価を行う。本年度の計画遂行のための材料はほぼ出そろっているため、計画年度中は問題なく目標達成が可能であると考えている。 本研究は、本科学研究費の終了後も継続する予定である。特に本課題は、地方における経済政策の効果の事前測定にあるので、現在進んでいる地方創生政策の新規事業が計画される時点で、その効果を予測して有効性の検証を行う予定である。
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