2014 Fiscal Year Research-status Report
心理学的効果と不確実性に着目した意思決定のタイミングの公理的基礎付けとその応用
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26380241
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小井田 伸雄 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30363724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 意思決定理論 / メニュー選好 / 意思決定時間 / 内的葛藤 / 確率的選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はメニュー選好における確率的選択の研究結果を「Anticipated Stochastic Choice」としてまとめ、各学会・セミナーで報告を行うとともに改訂を進め、国際学術雑誌への投稿を行った。具体的には、以下の2つの方針で論文の改訂を進めた。第一に、本研究の主要な公理の一つである公理2を整理することでモデルの含意やメニュー選好における先行研究との違いを明確にした。第二に、近年研究が進められている注意力の限界とこの論文のモデルの関連についてより明確にした。これらの改訂により、選択における心理学的効果を数理モデルによって分析するという本研究課題の目的により適合する内容となった。
また、内的葛藤による選択の先延ばしや意思決定時間の特徴づけについては、「A Multiattribute Decision Time Theory」としてまとめ、学会等での発表やそれに対するコメントに基づき、現在も改訂を進めている。特に、意思決定時間の研究は実験経済学などを初めとして経済学で急速に研究が進められているため、それらを含めた文献における本論文の位置づけをより明確にした。また、決定の先延ばしが生じる場合の一般化や決定の先延ばしにより損失が生じる状況の分析などは重要な拡張だと考えられるため、これらの場合も考慮する形で分析を次年度以降も研究を継続したい。このような分析を行うことにより、より広範囲の心理的効果の分析が可能となるとともに、従来の経済モデルとの関連がより明確になることが期待される。
さらに、これらに関連した研究課題についてもいくつか基礎的な結果を得ており、次年度以降、論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は本研究に関連した論文の執筆・改訂を進め、国際学術雑誌に投稿した。改訂要求を得てさらに改訂を進めた論文もあり、早期の出版が期待される。また、研究課題に関連した新しい研究内容についても基礎的な結果が得られており、今後論文としてまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に論文としてまとめている内容については改訂を進め、学会等での発表を行いながら国際学術雑誌における早期の出版を目指す。また、心理的効果や確率的選択に関連して新しい結果も得られているため、それらを論文として速やかにまとめ、学会・セミナー等で発表を行いたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、情報収集および文献調査を中心に研究を進めたため、物品に関しては大きな支出は生じなかった。また、セミナーにおける報告も行ったものの、招待講演であったため支出が生じなかった。次年度には学会発表等の予定もあるため、より有効に研究費を使用するために次年度への繰越を行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にはSAET2015における報告を予定しており、旅費の支出を予定している。また、経済学・意思決定理論・心理学等の書籍および研究を円滑に進めるためのPC・ソフトウェア・周辺機器などの物品の購入を予定している。国際学術雑誌に投稿を行う際の英文添削などの経費支出も予定している。
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Research Products
(1 results)