2016 Fiscal Year Research-status Report
ファジィ協力ゲームの解の特徴付け:市場による解法と制度設計
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26380246
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐柄 信純 法政大学, 経済学部, 教授 (90286005)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緩和経済 / ランダム化 / 凸化効果 / 純粋化 / 競争均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統的な協力ゲーム理論では,プレイヤーには提携に参加するか否かの二者択一の選択肢しかなく,協力の程度に関する自由度が存在しない下で提携に参加するプレイヤー全員に同一のコミットメントを要求する状況が考察される.これに対し,提携に参加するプレイヤーに協力の度合いを自由に選択することを認め,各プレイヤーが積極的にコミットするときと消極的にコミットするときで提携の実現利得が異なるような協力ゲームを提唱したのがAubinである.提携に参加するプレイヤーの曖昧な意思決定をモデル化したゲームは【ファジィ協力ゲーム】と呼ばれ,従来の提携概念を拡張し,協力ゲームの応用範囲を拡げただけでなく,実際に観察される集団的意思決定を的確に捉えたことから,現在も精力的に研究されている.
このような問題意識の下に,曖昧な提携をともなうプレイヤーの協力関係をファジィ協力ゲームを用いて分析し,協力ゲームの解を市場メカニズムによって実現する方法とその限界を明らかにするとともに,集団的意思決定に関する様々な具体的問題を定性的・定量的に考察した.この研究目的を達成するために,伝統的な協力ゲームをファジィ化するためのファジィ拡張を定式化し,ファジィ・コアが元の協力ゲームのコアに一致するようなゲームの族とそのファジィ拡張を特徴付けた.コアが存在しない協力ゲームに対しては,Weber 集合と呼ばれる代替的な解概念を提示し,ファジィWeber 集合が元の協力ゲームのWeber集合に一致するようなファジィ拡張を特徴付けた.また,市場メカニズムによる解法についての考察を進めた.特に,消費の意思決定をランダム化することにより凸化した緩和経済における競争均衡を,通常の決定論的な経済の競争均衡に還元するための純粋化の方法を定式化し,期待効用理論との関連を示した上で,二つの経済における競争均衡を完全に特徴付け,その存在定理を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不測の事態を来すことなく,当初の予定通りに研究を進め,2本の学術論文が国際ジャーナルに掲載された.研究成果の公表という観点からは,計画通りに成果を挙げることができたと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究課題をさらに発展させるために,新たな共同研究者を招き,市場メカニズムによる資源配分の特徴付けを異時点間意思決定の観点から分析を進めたい.この目的を実現するために,最適制御理論および経済成長理論の専門家と共同研究を進める予定である.
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Research Products
(13 results)