2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of British classical economics by the approach of management resources theory
Project/Area Number |
26380258
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
村田 和博 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00300567)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | A. ユア / 機械 / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、経営資源論の観点からユア(Andrew Ure)の機械と労働に関する主張を紐解いた論文を発表した。ユアは、①機械は生産費の低減、品質の向上、部品の標準化を可能にすること、②機械の発明・改良は実際に機械を現場で取り扱っている機械工やアークライトなどの発明家によって生まれること、③機械の発明・改良は国境を超えた人々の知的交流によって生まれること、④情報が集積しやすい場所で機械の発明・改良が生まれやすいこと、⑤市場競争にさらされることによって生み出される試練や危機意識が改良を促進すること、⑥ストライキは労働節約的な機械の発明・改良を促進すること、を指摘していた。 労働については、自動機械によって動かされる工場では、紡績工などの作業者は機械を見張るだけになるので熟練は不要になるとユアは考えた。自動機械を扱う労働者に必要な技術水準は低くなり、職業訓練も短期間で済む。その限りにおいては、人的資源の要素はユアにおいて軽視されていると判断されるかもしれない。しかし、実際には、ユアは人的資源を軽視してはいなかった。彼は生産の改良こそがイギリスの国際的な競争力を保持させる決定的な要因と見なし、この生産の改良を支える人として機械工や発明家を取り上げているからだ。ユアはイギリスの強みを機械の技術レベルの高さだけでなく、それを可能にする優秀な人的資源にも見ていた。 第二に、本年度は研究期間の最終年度にあたることから、研究成果報告書を作成し、5年間の研究成果をまとめた。研究成果報告書は、第1章「経営資源論的アプローチとは」、第2章「アダム・スミス」、第3章「チャールズ・バベッジ」、第4章「ジョン・ステュアート・ミル―人的資源―」、第5章「ジョン・ステュアート・ミル―資源ベース的アプローチ―」、第6章「アンドリュー・ユア」、第7章「ロバート・オウエン」から構成されている。
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Research Products
(2 results)