2014 Fiscal Year Research-status Report
啓蒙思想家としてのヒュームとルソーの比較思想史的研究
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26380264
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
壽里 竜 関西大学, 経済学部, 教授 (20368195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューム / ルソー / 啓蒙思想 / エピキュリアニズム / エピクロス主義 / 反啓蒙 / 奢侈 / 社会契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、7月にアメリカのポートランドで開催されたHume Conferenceにおいて、Andrew Sablの著書(Hume's Politics: Coordination and Crisis in the History of England, Princeton University Press, 2012)への合評会にinvited commentatorとして参加した。本書は現代政治・社会理論の観点からヒューム政治思想を分析しており、ルソーへの言及は少ないものの、本研究課題にとって数多くのヒントとなる知見が含まれていた。 また、10月より半年間の在外研究の機会を得て、パリ第一(ソルボンヌ)大学のロラン・ジャフロ教授を受入研究者として、本研究課題に関わる資料・文献調査、論文執筆を行った。半年間の滞在中、同パリ第一大学のクレル・ピニョン教授(ルソーの経済思想を研究している)、パリ第七大学のロバート・マンキン教授(ルソーとヒュームの伝記的研究等を行っている)と面談し、本研究課題に関わる執筆中の論文を読んでもらった。また、現地で開催された経済思想に関わるセミナーや、スコットランド啓蒙思想に関するワークショップにも出席し、現地研究者との意見交換を行った。 なお、本研究課題採択以前から執筆していた拙著原稿の一部において、本研究課題採択以降、ヒュームとルソーの比較考察を加えた。これは、本研究課題に直接関わる部分であり、半年間の在外研究期間中も、この部分の修正・拡充を行った。本書は2015年9月に公刊される。それ以外の執筆中の論文については、来年度以降、学会誌へ順次投稿していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
半年間の在外研究期間に、現地研究者との交流、および集中して研究課題に取り組むことが可能になったことにより、当初の予定より研究計画は進展した。そのため、来年度の予算の一部を前倒し請求することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、在外研究中にほぼ完成段階まで書き進めた論文を国際学会誌に投稿するとともに、さらにルソーに関する原典と二次文献の読解につとめる。国内での学会、研究会に積極的に参観するとともに、英語圏およびフランスの研究者とも連絡をとりつつ、本研究課題を遂行していく。
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Causes of Carryover |
前倒し請求すべき額は少額であったが、制度上、前倒し請求の最低額が10万円からであったため、平成27年度にその差額分の繰り越しが生じることとなった。そもそも前倒し請求をするに至った理由は、今年度7月にコメンテーターとして招聘された国際学会による旅費の補助が予想より少なく自己負担の経費が若干多くなったことと、最深の研究動向をフォローするために必要な研究書の追加購入、および必要な情報に迅速にアクセスするためのデータベース・アクセス権の購入が必要となったことにある。ただし、これらは研究計画を大きく変更するものではなく、合計請求額も5万円程度であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、前年度と同様、主として研究課題に関わる資料収集と論文執筆を中心に行う。平成27年度交付金は、ヒュームとルソーに関する最新の思想史的研究をフォローするための研究書の購入、および学会・研究会に出席するための旅費として使用する。また、国際学会誌に論文を投稿するため、英文校閲にも使用する。繰越金額は少額であるため、当初の研究計画および使用計画に大きな変更の必要はない。
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