2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下津 克己 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50547510)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有限混合モデル / 正規混合回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、混合正規回帰モデル(スイッチング回帰モデル)における、要素の個数に関する新しい統計的推測の手法を構築した。混合正規回帰モデルは、経済データを用いた実証研究において広汎に利用されているが、その使用においては、モデルを構成する要素の個数をデータから決定することが特に重要となる。しかしながら、混合正規回帰モデルの尤度関数は特殊な構造を持つため、要素の個数に関する統計的推測が非常に困難であることが知られていて、実用的な手法は未だに確立されていなかった。
既存研究においては、混合モデルの尤度関数の分析は、そのパラメーターに関する高次のテイラー展開によって可能なことが示唆されている。本研究課題では、期待値と分散のパラメーターに関する8次のテイラー展開と、その他のパラメーターに関する4次のテイラー展開を併用することによって、混合正規回帰モデルの対数尤度関数の漸近分析手法を確立した。さらに、要素数に関する統計的推測の実用的な手法として、modified EM testを提唱し、その漸近分布を導出した。大規模なコンピュータ・シミュレーションを、様々なサンプルサイズならびにパラメーター設定に関して行い、modified EM testの実用性を検証した。コンピュータ・シミュレーションの結果は、実際の実証研究で想定されるサンプルサイズの下で、modified EM testは良好なパフォーマンスを発揮することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要目的は、以下の4つである。(1)混合正規回帰モデルの要素数を統計的に検定する実用的な手法を構築すること、(2)コンピューター・シミュレーションにより、(1)で構築した手法の有限標本下でのパフォーマンスを検証すること、(3)多変量混合正規モデルの要素数を統計的に検定する実用的な手法を構築すること、(4)コンピューター・シミュレーションにより、(3)で構築した手法の有限標本下でのパフォーマンスを検証すること。本年度は、目的(1)ならびに(2)を達成することができ、研究成果を学術誌に掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、多変量混合正規モデルの要素数を統計的に検定する実用的な手法を構築し、その有限標本下でのパフォーマンスをコンピューター・シミュレーションにより検証する。
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Causes of Carryover |
カナダと台湾で開催される国際学会への出席のための旅費を計上していたが、急病のために出席をキャンセルせざるを得なかった。そのため、旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カナダで開催される国際学会へ出席する。
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