2014 Fiscal Year Research-status Report
確率的コピュラモデルによるリスク管理・最適資産配分
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26380268
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中村 信弘 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 教授 (90323899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスク・パリティ / リスク・バジェット / 下方リスク / HEAVY CAPM / GRASモデル / ヴァイン・コピュラ |
Outline of Annual Research Achievements |
まず最初に、リスク・パリティ/バジェット投資モデルとマルチ・ファクター型(外生的Fama-Frenchモデルと内生的ファクターモデルである主成分分析型)で、下方リスクを考慮したモデルを構築し、バックテストを日本株市場における代表的インデックスを用いて行った。下方リスクはコーヒレントリスク尺度の一つである条件付きVaR(CVaR)を用いた。ファクターリスクを等分担するファクターリスクパリティ投資と所与の比率(バジェット)を与えるファクターリスクバジェット投資の特徴を明らかにした。研究成果の一部は、2014年10月末に発表された年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオのポートフォリオ最適化モデルの構築の際に、賃金上昇率をフロアとする下振れリスク(相対的なCVaR)最小化を行う形で反映されている。 次に、高頻度データ分析から推計された実現分散(RV)、実現相関(RC)を用いたHEAVY CAPMモデル(HEAVYモデルはGARCHモデルにRVが追加されたモデルで、CAPMの市場インデックスに関しては、代理変数として市場インデックスETFの高頻度データを利用)を周辺モデルとし、資産間の依存関係をGRASコピュラモデル(スコア変数とRCを説明変数とするモデル)で表現し、更に、多変量化をヴァインコピュラで記述するHEAVY GRASヴァインコピュラモデルを構築し、共和分関係にある複数の個別株式に対して推定を行った。その結果、RV,RCを利用することで、相互依存構造の動的な変動を適格に捉えることができることを見出した。更に、期待効用最大化問題をモーメント近似する方法で、ポートフォリオ最適化できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階である程度、予備的研究を行っていたため、順調に研究成果を出すことができ、2つの論文を学会で発表することができた。2つの論文のうちの1つで、科研費で購入した高頻度データを利用したが、現在、作成中の続編の研究論文でも有効に活用する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
もう少し長い期間の高頻度データを昨年度後半から研究費で購入し始めたので、それらを用いて、高頻度データを用いた確率的コピュラモデルの検証を行い、資産運用モデル等への応用可能性を探っていく。最近、統計的推定の新しい方法論としてHamiltonian Monte-Carlo法が発展してきているので、その方法を確率的コピュラモデルの推定に試してみる。周辺モデルに関しては、高頻度のスタイル・インデックスデータを用いてマルチファクター型に拡張し、年金資金の最適運用者決定問題に着手する。
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Research Products
(6 results)