2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380269
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
星野 伸明 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (00313627)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | プライバシー / 匿名化 / 官庁統計 / 経済統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も匿名化水準を決定する理論の精緻化に努めた。特に、分割表のモデルとして独自な疑似多項分布について、分布族としての性質の解明が進んだ。多項分布は多くの良い性質を持つが、平均ベクトルと分散共分散行列の構造が固定的で、平均より分散が大きい(過分散)構造を記述できない。本年度はそれが可能となるように多項分布を一般化したConditional Compound Poisson (CCP)分布族について、二次モメントを明らかにした。CCP分布族は多項=ディリクレ混合分布(負の超幾何分布)や疑似多項分布を含む。得られた結果からCCP分布族の相関係数行列が即座に導かれるが、それは過分散の母数に依存せず、多項分布のそれと一致することが分かる。また二次モメントの式を見ると、セル平均の母数と他の母数から算出される係数を分離出来ることが分かる。疑似多項分布の周辺分布を第二種の疑似二項分布と呼ぶが、その分散についてそのような表現を結果として得た。その表現はこれまで知られていなかったと思われる。 他方、理論研究に時間を費やしたため、匿名データを用いた実証分析は、総務省所管の四調査(全国消費実態調査、社会生活基本調査、就業構造基本調査、住宅・土地統計調査)についてほぼリスク評価を終えた段階にとどまった。なおこれらの四調査は匿名データ制度の開始時から提供されているため利用が比較的多く、他の調査より統計的証拠として重要と考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
匿名化水準の許容範囲を定めるための統計モデル構築において、理論研究に時間を費やしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
理論の出版作業は最終段階にこぎつけたので、実データ分析に軸足を移す。
|
Causes of Carryover |
厚生労働省が匿名データ提供依頼のメールを紛失したため、匿名データの提供を受ける時期が遅れた。そのため匿名データの利用手数料の算出が遅れ、その間予算執行を見合わさざるを得なかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ利用の遅れを取り戻すため、人件費として利用する予定。
|