2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380274
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藪 友良 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (90463819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 元嗣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00252718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 定常 / 非定常 / 非線形トレンド |
Outline of Annual Research Achievements |
国際金融データを分析するうえで、関心のある変数が定常であるか、非定常であるかは大きな問題となる。その変数が定常ならショックの効果は一時的、非定常なら効果は恒久的となる。たとえば、実質為替レートが定常であれば、購買力平価仮説が長期的に成立することを意味する。 単位根検定によって、変数が定常か非定常かを判断できる。そして、単位根検定では変数の確定的トレンドを知ることが重要となる。本来含むべきトレンドを除いて検定をしてしまうと単位根仮説を採択するバイアスが生じる。含むべきではないトレンドを含めても検出力が下がる。確定的トレンドといっても様々なモデルがある。線形トレンドだけでなく、非線形トレンドを含むかも問題となる。たとえば、Perron (1989)は、確定的トレンドに構造変化を含めることで、多くの国際金融データが定常となることを示している。また、非線形トレンドとしては構造変化モデルだけでなく、構造変化がゆっくりと生じるLSTR、ESTRモデルなどもある。現実的には、非線形モデルとして何を考えるかも問題となってくる。非線形トレンドの存在を検定するうえでは、変数が定常か非定常かを前提としないで検定しなければならない。しかし、通常の検定統計量は、定常か非定常かで極限分布が異なってしまう。 我々は、ある変数が定常か非定常か未知のもとで、非線形トレンドの存在を検定する方法を提案した。非線形トレンドとしては、様々な非線形トレンドを上手に近似できるFlexible Fourier Trendを用いている。我々の検定量は、定常でも非定常でもカイ2乗分布に従うだけでなく、検出力も高いことが示されている。そして、我々の統計量を使って確定的トレンドが何かを調べたうえ単位根検定をすることで、単位根検定の検出力を高められることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際金融データを分析するうえで、重要な非線形トレンドを検定する方法を新たに開発した。この分析手法を用いることで、国際金融データが定常か非定常かを判断する助けとなると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発した手法を用いて、国際金融データが定常か否かを検定する。我々の方法を用いることで、非線形トレンドの存在だけでなく、それを前提として単位根検定が可能となり、より正確に定常か否かの判断ができる。 1973年から2014年までのデータを用いて、介入の利益を計算する。その際、売買益、利子率差益、評価益をそれぞれ別途求めたうで、今後の外貨準備の運用について、より効果的な運用方法を提示したい。
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Causes of Carryover |
理論研究が先行したため、データ整備が後手に回り、謝金の支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ分析のための、データ整備を行う予定である。
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