2014 Fiscal Year Research-status Report
社会シミュレーションのための統計データからのエージェント生成に関する研究
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26380277
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 忠彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (30296082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜飼 康東 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, 研究員 (70098101)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エージェント属性復元 / 統計データ / 社会シミュレーション / 誤差最小化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,エージェントの属性の不一致度を解消するためのアルゴリズム開発を行った.本研究では,社会シミュレーションにおいて,複数の実統計データにしたがうエージェントの属性を生成することを目的としているが,生成された属性と実統計との誤差を,不一致度と定義し,不一致度を最小化するアルゴリズムの開発に取り組んでいる.具体的には,統計データとの差異を,正と負の差異に分別し,それぞれの差異を解消することによって,誤差のない属性データの生成をおこなうものである. 本年度は,既に開発していたシミュレーティッド・アニーリング法(SA法)を改良した方法と,進化計算手法(EC手法)とSA法とを組合わせた手法(EC+SA法)の開発,さらに計算時間の短縮のために2段階のSA法の開発を行った.まず,SA法の改良手法では,SA法における状態遷移により5回,不一致度が改善されない場合に,不一致度の原因となっている差異を強制的に削減するアルゴリズムを開発した.提案した改良手法により,有意水準5%で,目的関数値の改善が見られた.さらに,EC+SA法では,SA法単独の場合に行えていなかった世帯数と人口を変数化し,さらなる不一致度の最小化をおこなった.EC+SA法により,有意水準1%で,目的関数値を改善することができた.EC法により,誤差をより最小化し,さらに分散の少ない結果を得ることができたが,計算時間の短縮が課題となった.そこで,第3の方法として,2段階のSA法を考案し,1段階目は,世帯構成を変化させるSA法を実施し,2段階目に不一致度を最小化するSA法を実施することにした.これにより,EC+SA法で達成できた不一致度の最小化を維持しながら,計算時間の短縮をはかった.その結果,計算時間を約20%に短縮することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年は,誤差最小化のアルゴリズムの開発を目的としていたが,アルゴリズムの効率化をはかることにより,計算時間の短縮まで可能にすることができた.具体的には,誤差最小化のアルゴリズムの開発において,(1)既に開発していたシミュレーティッド・アニーリング法(SA法)を改良した方法,(2)進化計算手法(EC手法)とSA法とを組合わせた手法(EC+SA法)の開発,(3)計算時間の短縮のために2段階のSA法の開発を行った.(1)により,実統計との比較により発見された誤差を直接解消することが可能となった.さらに(2)により,(1)の手法では行えていなかった世帯数と人口の最適化を可能とした.さらに(3)により,計算時間の短縮が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
統計データからの属性の復元については,唯一解が存在せず,多様な可能性があるため,開発したアルゴリズムにより得られた解の妥当性を検討する必要がある.次年度以降は,得られた解がどの程度,安定的に得られるかを検証し,解の妥当性の検討を行う. さらに,次年度の目標にあげている複数の最適化問題に取り組むため,既に,複数の統計データに対する最小化に取り組んでいるが,基本的には年齢に関する統計データのみであるため,雇用状況や収入など,年齢と異なる要素をもつ統計データを最適化することにより,問題の難しさを明らかにしながら,最小化アルゴリズムの開発に取り組む.
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Research Products
(9 results)