2017 Fiscal Year Research-status Report
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26380278
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
片山 直也 関西大学, 経済学部, 教授 (80452720)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 合理的バブル / 単位根検定 / 外れ値 / ロバストネス |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度では、大きく分けて4つの研究に関連する仕事を行なった。(i) H28年度に開発したバブルモデル(外れ値を含む自己回帰モデル)が適用可能か、実証研究を行った。これには出張先(国立成功大学)でデータベースもお借りすることができた。(ii) 9月ごろに一度論文としてまとめて投稿を行った(残念ながら3月に不採択通知をうけとった)(iii) 学会・研究集会で研究発表を行った。(iv) 出張先(国立成功大学)でMin-Hsien Chiang教授と研究打ち合わせを行い、(ii)の論文の拡張を行うとともに、さらなる研究方針をまとめた。(ii)の研究論文は共著で作り直すこととなった。 (ii)について、論文が不採択となった理由は、私の論文の書き方が悪く、説明不足が大きいと考えている。今回考え出したモデルは1990年に発表された論文のバブルモデルを拡張したものとなっている。レフェリーからはなぜこれまで同じアイデアのモデルがなかったのかの説明の不足、実証研究の不足などが指摘された。一方で(iii)で書いたように発表先では好評で新たな研究の拡張先も見つかった。香川のシンポジウムでは、シカゴのRuey S. Tsay教授からは、遷移確率を求めるモデル、例えばMarkov Switching Models のアイデアをモデルに組み込んでみてはと提案を受けた。同じような視点で成功大学の共同研究者のMin-Hsien Chiang教授や台湾の国際会議のフロアから、Smooth Transition Autoregressive Modelsを使えないかという質問を受けた。これらは、私の当初考えていたバブルモデルの拡張であるとともに、私のモデルと比べると、バブルの沈静期、生起、拡張、崩壊、沈静のサイクルの推移をより説明するモデルであろうと想像されて、(iv)のように共同研究を行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
業績として学術論文として採択までには至っていないものの、私の開発したモデルは応用可能性が高いとの評価を発表先で受けており、少なくとも3本の論文になりそうな共同研究のアイデアがある。そのうちの1つである不採択となった論文をまとめる研究をH30年度まで続ける予定である。H31年度以降もしばらくはこれらの研究に没頭するつもりであり、研究はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況の欄で記入したように、研究は合理的バブルの方面で順調に進展している。また、この合理的バブルの研究は共同研究を実行中である。一方、H30年に、私は理論研究としてM検定の理論的な改良を行うことを計画していたが、近年、似たことをしている研究がみられる。そのため、この研究を行うことは中断して、この合理的バブル関連の研究に注力すべきだと思う。この2点から、H29年度の研究ゴールをH30年度まで延長する形で研究を拡張していきたいと考えている。具体的には、外れ値を含む自己回帰モデルにおいて逐次単位根検定を行う方法論の開発とそれらのバブル事象への適用である。
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Causes of Carryover |
研究応募時はサバティカルにあたる2015年度の機器などの購入費用や旅費が発生すると予測していたが、学内予算で旅費が賄うことができ、機器も滞在先の国立成功大学の研究環境が思いのほかよく、必要なかった。そのため、2015年度の予算を余らす形で次年度使用額が発生した。2015年に計画していたPC機器購入を2017年に行い、繰り越し分はおおむね消化した。最終年度は残り予算で台湾など海外研究者との共同研究の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)