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2015 Fiscal Year Research-status Report

文化資本による地域再生のための理論と実証―日仏比較研究

Research Project

Project/Area Number 26380292
Research InstitutionNational Graduate Institute for Policy Studies

Principal Investigator

垣内 恵美子  政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90263029)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords文化資本のインパクト / 創造産業の実態分析 / 国際情報交換 / 日仏比較研究
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、芸術家・芸術団体、文化遺産(有形・無形の文化財、博物館や劇場等の文化施設を含む)等の文化資本を導入した地域再生に関し、3年間の期間において、①日本とフランスの比較研究を通じ、②その実態とメカニズムを定量的に明らかにし、③経済的に最適化する仕組みを理論的・実証的に示すことを目的とし、文化資本の保護、活用、創出にかかる総合的な枠組みを経済学的かつ定量的な視点から考察するものである。平成26年度に行った産業面の創造産業分析で、文化資本を中心とする産業は、一定の経済規模があるものの、中小ロットの比較的小さなマーケットを対象とする多様な構造を持つことを明らかにしたが、平成27年度では、さらに人材育成などの教育、社会福祉といったデータとの関連を探った(論文等の詳細については以下「達成度」を参照されたい)。特に文化資源と人々の生活の交錯でもある文化的景観を詳細分析することで、多種多様な文化資源と域内経済の活性化との関係を探るとともに、これら文化資源の価値を担保する上で、特に地域の人的教育資源(学校、公館などの社会教育)が重要な役割と影響を与えていることを明らかにし、学会発表を行った。しかしながら、一方で、芸術団体やフェスティバルなどの事例分析からは、文化資源のメリットを十分に享受する上での制約条件(個人の所得や学歴、居住地などの影響)も明らかになってきたことから、平成28年度ではこれらの個別事例に基づく知見を総合し、最適化に向けた仕組みを提示する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年は、研究の中間年であることから、平成26年度から引き続いて行ってきた研究成果を取りまとめて国際学術誌に査読論文として公表するとともに、データ蓄積と分析を進めた。ここで、フランス側の提案により、全体的なデータ分析をする前段階として、個別事例に特化したデータ分析をいくつか行い、事例研究で得られた知見及び有効性が裏付けられたデータに基づく理論化を図ることとした。これらの事例研究は、随時結果がまとまったものから査読論文として公表し、残りについてもほぼ分析は終了、論文投稿準備に入った。
全体的なモデル構築とデータ分析は、予定よりもやや遅れているものの、これら事例分析を通じて、当初想定していなかった享受者の制約条件を考察する必要があること、新たな外部諸条件に関する要因を特定できたことなどの知見が得られており、最終モデルをより深化させる上で重要な進捗がみられたことから、本研究は、概ね順調に進めることができたと判断する。

Strategy for Future Research Activity

本研究は、統計的分析手法により、文化資本の保護、活用、創出が、①産業構造に与える影響の分析、②産業基盤形成に与える影響の分析、③これらを経済的に最適化するための仕組みの考察を目的とするもので、既述の通り、平成26年度には、既存の経済統計データ及び実態調査の結果を用いた産業面でのインパクト分析を、平成27年度には、非経済データを含むデータセットによる統計解析に基づく個別事例研究をいくつか行った。文化資本の産業面でのインパクトは、創造産業を中心とする分析においても、一定規模を有しつつも比較的控えめであり、ICT関連部門を除けば、中小ロットのマイクロマーケットを中心とする多彩な産業群である。ここで、価格競争にのみ依存するのではない新たな付加価値の創出という観点から、芸術団体、フェスティバル、文化的景観などの個別事例研究に基づき、産業基盤形成へのインパクトの分析を行った。この結果、文化資本の便益を享受する上での制約条件もいくつか浮かび上がってきていることから、モデル作成のための変数選択について本年2月パリ大学において共同研究者と打ち合わせを行い、平成28年度は、本研究の最終目的である日仏両国の文化資本の特性の把握と両国の文化資本が特に知的・人的発展等に与える影響とメカニズムの分析を目指す。なお、これら研究成果の深化のため、秋に国際セミナーを開催するとともに、研究成果の学会発表を行い、論文執筆へとつなげる予定である。

Causes of Carryover

既述の通り、最終的なモデル構築のための準備として、追加で事例研究を行ない、理論的な側面を補強した。このため、平成27年度の当初計画で予定していたパネルデータ収集に着手できず、このための経費が残ったものである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度では、早期に、文化資本が特に知的・人的発展等に与える影響とメカニズムの分析のためのデータセット作成作業を行う。(この後、当初計画の通り、文化資本の社会経済的影響の総合評価とメカニズムの分析、さらには最適化モデルの構築を目指す予定である。)

  • Research Products

    (4 results)

All 2015

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Culturally creative cities in Japan: Reality and prospects2015

    • Author(s)
      Emiko Kakiuchi
    • Journal Title

      City, Culture and Society

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1016/j.ccs.2015.11.003

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 自治体と芸術団体の協働 教育現場からの声-東京都墨田区と新日本フィルハーモニー管弦楽団の音楽指導事業を例として-2015

    • Author(s)
      稲川由佳・垣内恵美子
    • Journal Title

      音楽芸術マネジメント

      Volume: 7 Pages: 23-34

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 今後の地方オーケストラ運営の方向性の検討-群馬交響楽団を事例として-2015

    • Author(s)
      上村英郷・垣内恵美子
    • Journal Title

      音楽芸術マネジメント

      Volume: 7 Pages: 47-62

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 文化的景観保護における文化的価値の保護と生業維持:行政担当者意識調査に基づく予備的検討2015

    • Author(s)
      垣内恵美子
    • Organizer
      計画行政学会全国大会
    • Place of Presentation
      愛知県名古屋市
    • Year and Date
      2015-09-15

URL: 

Published: 2017-01-06  

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