2016 Fiscal Year Research-status Report
インド、インドネシア、フィリピンの都市・農村格差:家計データに基づく要因分解分析
Project/Area Number |
26380317
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
林 光洋 中央大学, 経済学部, 教授 (80367672)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 都市・農村間格差 / 都市・農村内格差 / 家計消費支出 / タイル尺度 / 要因分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、インド、インドネシア、フィリピンを対象にし、全国規模で時系列の家計調査原データに基づき、格差とその変化を、定量的手法を用いて都市と農村で要因分解し、都市・農村内格差および都市・農村間格差の説明力を明らかにすることを目指している。インドネシアの研究はほぼ終了し、2016年度はインドの分析を進めた。 人口規模の大きい大国であり、高成長を遂げつつあるインドの家計消費支出の地域格差の実態を描き出し、その地域格差の要因を明らかにするべく研究を行なった。1999/2000年と2011/12年の2時点における家計調査データ、NSS(National Sample Survey)を使用し、消費支出の地域格差を測定した。世帯1人当たり消費支出の地域格差が、都市・農村内格差によるものなのか、都市・農村間格差によるものなのかを、タイル尺度の要因分解の手法を用いて分析し、さらに、地域内格差と地域間格差に対して、教育や社会階層(指定カースト、指定部族等)などの世帯の属性が影響しているのかどうかについて、タイル尺度およびBlinder-Oaxacaの手法を使用して、それらの属性で要因分解を行なって検証した。 本年度の分析により、インドでは、家計消費支出の地域格差が拡大しており、都市・農村内格差が目立つものの、都市・農村間格差も拡大していることを確認した。教育の差が家計消費支出の都市・農村内格差の要因に、また、教育の差、カースト等の身分の差、就業部門による生産性/付加価値の差が家計消費支出の都市・農村間格差の要因になっていることを明らかにした。それらへの対応、特に、教育の量の拡大と質の改善が同国の地域格差の是正につながるであろうことを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
フィリピン統計局から「FIES(Family Income and Expenditure Survey)」の新しい年次のデータを入手できていないため、フィリピンの研究が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、フィリピン統計局を訪ね、新しい年次のFIESデータを直接購入し、すでにドラフトとして書きあげた論文、Education and Expenditure Inequality in the Philippines: Decomposition Analyses をアップデートし、ジャーナル誌に投稿したい。 また、インドの研究は、Elbersの要因分解の新手法を使用して都市・農村間格差の適正な評価を行なったうえで、ジャーナル誌に投稿したい。
|
Causes of Carryover |
2016年度にフィリピンで、家計調査の原データ、「FIES(Family Income and Expenditure Survey)」の年次の新しいものを購入する予定であったが、それを実行することができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、フィリピンを訪問し、統計局で「FIES(Family Income and Expenditure Survey)」データを直接購入する予定である。
|