2017 Fiscal Year Annual Research Report
Political Economy of Power Sector Reform in India
Project/Area Number |
26380319
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福味 敦 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (20379465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電力改革 / インド / 政治経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インド電力セクターがなぜ現在の苦境に陥ったのか、そして90 年代に開始された改革がなぜ成果をあげないのか、インド特有の政治的、社会的な背景に焦点を当てながら、実証的に明らかにすることを目的としている。接近方法としては、①ステークホルダーへの聞き取り、②計量経済分析、③農村調査、を採用した。 四年間のプロジェクト期間中にデリー、グジャラート、パンジャーブ、タミル・ナードゥ、アンドラ・プラデシュ、ビハール等の各州において、電力規制委員会、州電力事業体など公的機関に加えて、NGOスタッフ、報道関係者からの聞き取り調査を行った。また消費者側についても、パンジャーブ、そして最終年度のビハールでの農村調査を通じて、農民へのインタビューを行った。こうした作業より得られた情報は、収集した各種統計資料、文献に基づく計量経済分析の結果をときに裏付け、または修正を求めるものであった。 主要な結論として①各州の電力事情は、主に供給量の増大により改善傾向にあること、②ただし現在の電力事情の大半を説明する電力事業体の財務状況は、今なお深刻であり、それらは1970-80年代に既にみられた農村電化の状況と農業用電力料金の設定に規定される側面が強いこと、また③財務統計上、電力事業体の経営改革に「成功」したと思われる州(デリー、グジャラートなど)でも、赤字問題の解決には至っていないこと、④パンジャーブなど穀倉地帯では過剰灌漑問題と相俟って状況は深刻であること、⑤ただしIT技術を応用した電力消費の管理には期待が持てること、が挙げられる。以上の研究については、プロジェクト期間中、合計5本の学術論文(DP含む)、一般向け論文1本についてまとめ、3度の国際学会・研究集会、1度の国内学会、3度の一般向け講演会で報告を行った。書籍をはじめ計画期間中に未刊行の論文の早期刊行を引き続き目指している。
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