2016 Fiscal Year Annual Research Report
A public capital construction by PPP and an industry accumulation
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26380322
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川崎 一泰 東洋大学, 経済学部, 教授 (40338752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会資本 / 集積効果 / サプライチェーン / 事業継続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究を通じて査読付き国際ジャーナル1本、日本語論文を6本、一般向け書籍を分担で1本の成果を出した。 具体的内容は、各都道府県の生産性向上を地域産業の構成による要因、資本移動に伴う要因と労働力移動に伴う要因に分解し、社会資本整備や構造改革特区がこれらの要因にどの程度の影響を及ぼしたかを分析した。分析の結果、従来型のいわゆる社会資本は資本移動に伴う生産性向上は負値で有意となっており、収益率とは関係なく旺盛な投資が行われていたことや一度蓄積された資本の用途を変更することが難しいことなどからこのような結果となったことが推察される。一方労働力移動に伴う生産性向上は有意な結果が得られなかった。一方、ルールなどの社会基盤の効率化を表す構造改革特区に関する分析では、資本移動に伴う効果は有意な結果を見出すことはできなかったものの、労働力移動に伴う生産性向上は有意に寄与していることが明らかになった。 こうした結果を踏まえると、財政制約が厳しい中、より効果的に地域振興を図ろうとするならば、我々は構造改革特区や国家戦略特区などの規制改革により産業や知識の集積効果を追求する方が有用なものと考えている。Sims理論(物価水準の財政理論)やアメリカでのトランプ政権の誕生などで拡張的財政政策が注目される中、量的な投資規模ばかりにとらわれることなく、どのように成長につなげていくかをまさに「戦略的」に捉える必要があるのだろうとの結論を導いた。 この他、東日本大震災のサプライチェーンの寸断に伴う地域間の波及効果を定量的に計測し、リスク分散、すなわち事業継続性の観点からも特定地域に部品調達を頼らずに代替可能性を考慮することの経済的価値を推計することができた。
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Research Products
(8 results)