2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and Empirical Analyses of Deregulation in the Taxi Industry towards the New Regulation
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26380329
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
斉藤 都美 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (00376964)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タクシー / ライドシェア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の2点を実施した。まず、ライドシェアについての最近の研究成果についてのレビューをした。欧米ではすでにUberやLyftといったライドシェアサービスが広く普及しているため、日本よりもデータの蓄積と実証研究が進んでいる。以下のような結論・論点が提示されていることを確認した。①ライドシェアは従来のタクシーサービスよりも資本の稼働率が高い。(Cramer&Krueger, 2016, AER)②ライドシェアは全米で年間6,800億円程度の消費者余剰を生み出している。(Cohen et al., 2017, NBER WP, 1ドル=100円換算)③リアルタイムで仕事をするかどうかを決められるUberの柔軟な労働システムは、柔軟でない労働供給と比べて2倍以上の余剰を労働者にもたらしている。(Chen et al., 2017, NBER WP)④Uberは既存タクシーサービスに対して補完的か代替的か?(The Economist, 2015年8月10日号)このようにUberの参入に対してはおおむね好意的な結果が提示されている一方で、元来タクシー産業で懸念されてきたクリームスキミングのようなより大きな問題は議論されていないことも確認できた。今後は上記のような論点を参考にしつつ、日本の文脈で研究課題を進めていく予定である。 今年度実施したもう1点は、自身の研究の改訂である。2002年の需給調整撤廃の影響と、それがもたらした効果についてすでに論文にまとめたが、計量分析にいくつかの問題点があることから、その改善を行った。現在は論文を改訂し、投稿する準備を進めている段階である。具体的には回帰分析モデルの内生性の問題を解決している。
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