2015 Fiscal Year Research-status Report
国際的公共インフラ供給のための国際分業の理論的分析とその東アジアへの適用
Project/Area Number |
26380333
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
多和田 眞 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (10137028)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 公共インフラ / 国際貿易 / アジア経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまで行ってきた公共中間財と国際貿易の動学的分析の小国モデルを2国モデルに拡張して分析することを考えてきた。この問題はこれまでこの分野の理論的研究者が未解決の問題として残しているものである。この問題の難しさは特に公共中間財が産業の生産性に収穫逓増的な効果を持つ純粋公共中間財の場合、生産のパターンが不完全特化と特化の間での切り替わりで不連続になる側面を持つことによって生じる。中国の中央経済財政大学の斉玲教授の招へいにより北京に行ってこの問題に取り組み、名古屋大学の国際貿易の理論研究を専門とする柳瀬明彦教授からも助言を得て考察してきたが、満足な結果を得られなかった。公共中間財が準公共的な場合には、不完全特化の状態が持続していくと予想されるため、そうであれば特化と不完全特化の切り替わりが生じないために、2国貿易モデルでの動学分析が可能であろうと推測される。この場合は分析上の上述のような困難が回避できるため、この方向での研究を今後考えていく予定である。 本研究課題はアジアにおける公共インフラの貿易の分析が重要な課題であり、そのためには途上国の経済システムを意識した貿易モデルの構築が望ましいため、本年度はハリス・トダロ型の経済発展モデルについて、収穫逓増的な生産技術を持つ産業を組み込んだ貿易モデルを考察して論文にまとめた。今後はこのモデルを基礎として国際公共財を組み込んで、この場合では静学的な分析を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小国貿易モデルに公共中間財を含めた場合の国際貿易の動学分析に関して、これを2国モデルに拡張する作業を行っていたが、収穫逓増型の公共中間財の場合は特化と不完全特化の切り替えが動学経路上で起こるため、そのときに動学経路が不連続となり、経路が確定できなくなるという分析上の困難が発生して、分析に時間と取られて、この点において十分な成果を得られなかった。しかしアジア経済への問題の適用のための途上国モデルの分析は進展が見られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたるためアジア経済への問題の適用を第1の目標として、ハリス・トダロなどの途上国経済モデルに国際公共財を導入して、これまでの公共中間財と国際貿易の分析の拡張を行う予定である。特に、8月にはベトナムのダナンで開催されるVietnam Economists Annual Meeting 2016において招待講演をする予定をしている。講演の内容は公共インフラと国際貿易の関係を予定している。この会議の機会を利用して海外の研究者とアジアのインフラ貿易に関する意見交換を行う予定である。最終的にはこの研究内容は論文にまとめていく予定である。さらに2国モデルでの公共中間財と国際貿易の動学分析は準公共財の場合で考察して、まとまればこれも論文にしていく予定である。
|