2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380336
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
寺井 晃 京都産業大学, 経済学部, 教授 (20387989)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済政策 / 経済事情 / 経済理論 / 経済統計学 / 期待インフレ率 / マクロ経済学 / 動学的一般均衡モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,期待インフレ率の測定方法に関する先行研究サーベイ,理論・実証分析,データの性質についての調査を行ってきた. 1点目として,経済主体によって異質な期待形成を念頭に置いた動学的一般均衡モデルの開発を行った.動学的一般均衡モデルにおいては,複数の異質な状況が混在している状況の分析も行われている.例えば,企業の改訂がフレキシブルな層と固定的な層,家計が流動性制約に直面している層と直面していない層,などである.本研究は,これらの分析をサーベイし,異なる期待形成を念頭に置いたモデルを構成し,期待インフレ率の分布を理論的に導出する試みである.また,理論的に導出された期待インフレ率の分布が,実際のデータとマッチするかどうか,実証分析を見越している. 2点目として,物価や経済データの作成方法の歴史についてサーベイを行った.データを中心とした定量的な研究に限らず,経済政策の時代時代の背景を踏まえた定性的な研究は,マクロ経済が経済政策実験で経路を比較できない以上,不可欠である.そのため,物価指数の作成方法の歴史を探り,その変遷をまとめた. 3点目として,期待インフレ率研究を更に深化するため,独自のアンケート調査を行う.実際に行うのは28年度を予定しているが,そのための予備調査として,どのような調査票が望ましいのか,アンケート対象はどのようなものが望ましいのかといった,社会調査の手法のサーベイを行った. これらの成果は現在論文として執筆中であり,早い段階で学会報告,査読付き専門雑誌への投稿を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期待インフレ率についてアンケートを行うプロジェクトを考えていたが,実施を計画していたもののアンケート調査を実施・委託する法人に対して条件を詰められず,平成27年度中の実施が困難となった.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,平成27年度の研究にて生じた遅延について,当初の予定に追いつくように研究推進をする.平成27年度は様々なモデルの検討を行う計画であったが,確保したPCを効率的に利用することにより,遅れの回復を図る. 次いで,当初の予定としていた平成27年度の研究計画を推進する.平成28年度は平成27年度までの研究で得られた結果を参照しながら,随時モデルとデータの改定を行って論文を執筆することが計画されていた.論文執筆を行うことで研究成果を取りまとめ,学会発表,レフェリー誌への投稿を積極的に行う.
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Causes of Carryover |
・統計・計算ソフトウェアについて,導入費用を保守サービスやアップグレードなどにより,当初の見込みよりも節約することができた. ・期待インフレ率アンケートを行う際について,条件が合わないなどの事前に予期しえなかったことが判明し,アンケートのための事前調査の必要が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:データ分析・計算のソフトウェア導入,図書.旅費:期待形成に関する論文のサーベイとデータ収集のため,諸研究機関への往来.人件費・謝金:論文の英文校閲や研究補助の人件費.その他:計算機使用料.複写費.通信費
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