2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380337
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
関田 静香 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30583067)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金融リテラシー / 貯蓄計画 / 資産蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究の成果を雑誌に掲載したり、アジア各国から研究者の集まるミーティングで、日本人の金融リテラシーのレベルや、日本の金融教育の内容、問題点、考えられる方策を発表するなど、積極的に情報発信を行った。 例えば、研究結果の一部が、『金融ジャーナル』という一般雑誌に掲載された。そこでは、日本人の金融リテラシーのレベルを測定した結果が示されている。例えば、複利計算をさせる問題に正解した人は約71%にすぎず、間違った回答をした人が約15%もおり、「わからない」と答えた人も多く、約13%もいたことを示した。単純な計算問題についても正解を導き出すことができない人が多数存在することが分かる。また、金融リテラシーに関する質問への正解数が1個上がることによって、純資産が約759万円も増加するという結果も得ており、金融リテラシーが家計の金融行動に無視できない影響を持っていることも示した。 また、シンガポールで行われた"First Multipartite Regional Meeting on the Financial Security of Older Women in East and Southeast Asia"では、まず、日本にいる高齢女性のうち、40-50%が「あまり貯蓄できない」と答え、33-55%が貯蓄計画を持っていないと答えているなど、日本にいる高齢女性は老後に向けての準備が不足していることを示した。その要因となっているのは、金融リテラシーの欠如かもしれないので、分析してみると、日本にいる高齢女性の金融リテラシーのレベルが高いとは言えないことが分かり、そこで、「公民館」での金融教育をより充実させることを提言した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融リテラシーと資産蓄積についての分析は順調に進んでおり、査読付き学術雑誌への投稿に向けて準備を進めている。また、これまでの分析結果を一般向け雑誌で発表したり、高齢女性の老後に関する国際会議に出席し、日本人の金融リテラシーのレベルや、金融教育の現状、今後の課題などについても発表したり、国内外で情報発信している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、金融リテラシーと資産蓄積についての分析をさらに進め、査読付き学術雑誌に投稿する。それが終わり次第、金融リテラシーと高コストの借入に関する先行研究のサーベイを行い、そのテーマに関する実証分析を始める。
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Causes of Carryover |
一時的に研究の進行が遅れ、当初予定していたワークショップに参加することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度参加するはずであったワークショップに、次年度参加するため、その旅費に使用する。
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