2016 Fiscal Year Research-status Report
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26380337
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
関田 静香 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30583067)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金融リテラシー / 金融教育 / 資産蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、金融リテラシーが資産蓄積に与える影響、及び、金融リテラシーの決定要因について分析を行った。 人々の金融リテラシーのレベルを測定する際は、通常、金利計算、インフレについての理解、リスク分散についての理解など、様々なテストをアンケート調査で行い、その正解数などが使用されてきた。そして、その正解数が高い人ほど、より多くの資産を蓄積しているという結果が、国内外の先行研究で得られている。 しかし、正解数を用いるという先行研究の方法では、金融に関するどの種のリテラシーが、資産蓄積にどのような影響を与えるのか分からない。 そこで本研究では、金融広報中央委員会が2016年の2月から3月に実施した「金融リテラシー調査」の個票データを用いて、国内外の研究者と共同で研究を行い、金融に関する異なる種類のリテラシーが、資産蓄積にそれぞれどのような影響を与えるのか、操作変数を用いた分析を行った。このような分析をすることによって、金融教育の在り方にも貢献できると期待できる。 分析の結果、金融リテラシーの中でも、預金リテラシー・リスクリテラシー・借入リテラシーは、資産蓄積に有意に正の影響を与えることが分かった。一方、インフレリテラシー・保険リテラシーについては、有意な影響は観察できなかった。また、先行研究では、女性・若者・低所得・低学歴の人々の金融リテラシーレベルの低さが確認されていたが、それらの属性が、金融リテラシーに与える影響は、金融リテラシーの種類によって異なることも観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金融リテラシーが資産蓄積に与える影響について分析する際、金融リテラシーの内生性の問題を考慮して、操作変数を見つける必要があり、それにかなりの時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
金融リテラシーが資産蓄積に与える影響についての分析において、基本モデルの推定は終わっているので、今後は頑健性のチェックなど、補助的な分析を行い、論文の作成を行う。 それが終わり次第、金融リテラシーが過剰債務に与える影響についての研究に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
分析作業が計画通り進まず、当初予定していた学会等への参加・発表ができなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会への参加もしくは発表(約54万円)
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