2018 Fiscal Year Annual Research Report
Minimum wage effects on employment, unemployment, economic growth and welfare
Project/Area Number |
26380343
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 雅生 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (50511002)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 最低賃金 / 政策効果 / マクロモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、Macroeconomics and minimum wage: Optimal minimum wage policy について、研究発表を行った。動学的一般均衡モデルにおいて、不況均衡と新古典派完全均衡(効率的賃金によって失業は発生する)が存在するが、不況均衡における最低賃金の引き上げによって、完全均衡が実現するような最適な政策が存在することを理論的に示した。不況均衡において、二つの均衡が存在する可能性とその要因についての質問が出され、その一つを排除するための議論を考察する上で有益であった。 また2017年度に投稿していた論文に対する査読者のコメントをもとに、論文の改訂作業を繰り返した。特に日本の47都道府県の最低賃金引き上げが雇用に及ぼす影響についての実証分析のフレームワークにおいて、その分析方法の妥当性を、より詳しく説明することが求められており、現在、その部分を書き直す作業を進めながら、雑誌への投稿を準備中である。 最低賃金が雇用に負の影響を及ぼすか及ぼさないかについて、欧米では多くの実証研究が蓄積されているが、日本の先行研究は数が少ない。そのいくつかの先行研究では、最低賃金の引き上げが若年就業率に対して、有意な負の影響を与えることが明らかにされてきたが、本研究では、最低賃金の引き上げが雇用や労働時間に有意な影響を与えないことを示した。この分析結果をまとめた論文は、最低賃金の証拠に基づく政策効果として、数少ない日本の実証研究に貢献するものと考えられる。
|