2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rise of Latecomer Firms as Platform Vendors
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26380353
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
川上 桃子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 次長 (30450480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 後発工業国企業 / 台湾経済 / 産業プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2000年代以降、後発工業国・台湾のなかから「産業プラットフォーム」型のコア部品や技術、サービスのベンダーが出現しつつあることに注目し、その背後にある企業レベルのメカニズムを分析することであった。研究実施4年目にあたる2017年度は、以下の活動を行った。 第一に、台湾の半導体設計企業が産業プラットフォーム型コア部品のベンダーとして世界市場を席巻するにいたった過程に関する実証分析の成果を論文にまとめ、学術誌への投稿を行った。この論文は現在、審査・改稿中であり、2018年度中の刊行をめざしている。第二に、本研究を実施するなかで得たグローバルな生産分業ネットワークの発展に関する知見、および台湾の産業企業の現況に関する知見の一部を、アジア経済論の教科書の一章の共同執筆、および雑誌『東亜』への寄稿論考の執筆に活かした。また、プラットフォーム型コア部品ユーザーとしての台湾企業の競争優位を論じた中国語の論考も刊行することができた。第三に、前年度に続いて、台湾のなかから出現しつつある新たなタイプのプラットフォーム型サービスベンダーとして、台湾の医療機器企業に関する調査を行った。この調査の成果は、2018年度に研究書の一章としてまとめる予定である。 4年にわたる研究活動を通じて、台湾のなかから出現しつつある「産業プラットフォーム型部品」ベンダーが、自らを取り巻く企業間関係のなかで生じる情報の流れを貪欲に取り込み、自社の知識に転化し、これを顧客のために活用することで顧客層を一歩一歩拡大してきたことを明らかにし、成長メカニズムが持つ後発工業国的な特性に光を当てることができた。今後は、本研究が取り上げた事例から得られたファインディングがどの程度、後発工業国企業に一般的なものであるかを探るため、事例分析の対象を広げていきたい。
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