2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Assessment of Welfare Improvements in Japan by Trade Liberalization
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26380354
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 匡 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (40550413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 准教授 (20456304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貿易自由化 / グローバリゼーション / 厚生向上効果 / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
一つ目の研究論文である日本の農業分野における貿易自由化による厚生向上効果計測に関する論文は、日本の農業自由化について戦後からレヴューを行い、最新のデータと方法論にて農業自由化の更生向上効果を計測したものである。1970年から2011年の間に自給自足経済対比5%~15%の厚生向上効果が見出された。同論文は2016年度から2017年度にかけて学術雑誌に投稿、先行文献との関連性や因果関係に関する考察など追加の分析を含めた修正の条件付きで受理されたため、修正作業を行い再投稿したものの、データの計算過程に問題があることが分かったため、自主的に出版を見送ることを決定した。現在、修正作業中である。一方で、二つ目の論文である製造業自由化の厚生向上効果論文は、9桁の日本の貿易データでの代替の弾力性を計測し、同データの産業連関表データ(JIPデータベースを採用)への連結、Arkolakis et al. (2012)の方法論に産業連関構造を組み込んだOssa (2015)方法論による更生向上効果計測を行ったものであり、1970年から2011年の間における日本の製造業分野の貿易自由化の更生向上効果を計測した。特に1990年から2000年代において効果が強く、2011年時点において自給自足経済対比約11%の更生向上効果が確認された。2017年度は、前年度の学会発表でのコメントなどを踏まえて改訂作業を行った。研究代表者及び研究分担者が認識する限り、両論文は日本の貿易自由化からの更生向上効果を計測した最初の研究であり、その意義は高いものと考える。
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