2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Conditon for the Political Application of the Generatinal Accounts
Project/Area Number |
26380356
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 浩 東北大学, 経済学研究科, 教授 (60275823)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世代会計 / 世代間公平 / 年金改革 / 高齢化 / 政府債務 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、世代会計の政策的応用のための条件として、国民が現在および将来の経済行動を決定するために適切な情報が提供されているかという観点から以下の2つの研究を行った。 第1には、世代会計の世代間不均衡の大きな割合を占める、公的年金の通じた世代間所得再分配の状況について取り上げた。ここでは厚生労働省の示している年金の財政検証報告の妥当性を検討した。当該「財政検証レポート」では夫が勤労者で妻は専業主婦という退職世帯をモデル受給者として、現役男子1人賃金に対する所得代替率50%が維持されるという試算が公表されている。しかし、実際には将来世代が受給を始める頃には、専業主婦世帯はマイナーである。本研究ではレポートのもっとも高い所得代替率が実現できるケースを前提として独自に試算した結果、実現されるであろう所得代替率は共働き世帯で、41.1%、また単身世帯世帯では37.9%とかなり小さくなることが分かった。この意味で、世代間不均衡を正しく国民が理解できるための条件を満たしていないと評価される。 第2には、政府や公的な機関の提供する情報が、どの程度国民に信頼され、経済行動の決定に影響を及ぼすかという観点から、全国の成人男女2000名を対象とした意識調査を行ったた。このうち、「厚生労働省は年金財政検証で今後100年間は年金の破たんはないとしているので、ある程度老後の経済生活の心配はないだろう。」という見解に対して、30歳代、50歳代の割が「同意しない」と回答し、60歳以上も77%が同意しないという結果が得られ、世代間公平に関する政府の情報の信頼性が低いことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)