2014 Fiscal Year Research-status Report
女性労働と子育て世帯間の所得格差に関する国際比較研究
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26380358
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大石 亜希子 千葉大学, 法政経学部, 教授 (20415821)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / アジア / アメリカ / 家族政策 / 母子世帯 / ワーク・ライフ・バランス / 格差 / 子育て世帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究実績は以下の通りである。第1に、第18回世界社会学会議において母子世帯の貧困について研究発表を行った。第2に、労働政策研究・研修機構(JILPT)の実施した「第2回子育て世帯全国調査」の個票データに基づき、母親の就労パターンと子どもの年齢、さらに、子どもへの時間的・経済的投資との関係について、とくに非典型時間帯労働の影響に着目しながら分析を行い、JILPTの報告書で公表するとともに改訂したものを公刊した。論文では、母子世帯の母親が日中に加えて夜間など長時間労働をする背景に賃金面の誘因があること、また、子どもの教育目標として高卒後の高等教育を考えている場合に非典型時間帯労働をする確率が上昇することを明らかにした。さらに、そうした長時間労働は、子どもへの時間的なインプットを減らす半面、経済的なインプットには差を生んでいない。海外の研究では子どもへの時間的インプットの格差が子どものアウトカムに影響するという指摘が多く、母親の就労パターンの差が子どもにもたらす影響が懸念される。第3に、複数の科研費プロジェクトと合同する形で日本およびアジア諸国の研究者を招へいして2014年末に国立台湾大学で家族政策・労働市場政策に関する国際ワークショップを開催し、研究報告を行うとともに、国際比較可能なデータの共有方法等について情報交換を行った。第4に、アメリカや日本の福祉制度改革に大きな影響を及ぼしているイギリスの家族政策(とくにワーク・ライフ・バランス施策)について現地におけるヒアリング調査を行い、成果を公刊した。第5に、21世紀出生児縦断調査に基づく分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では第18回世界社会学会議のために来日する海外連携研究者・研究協力者と日本において国際ワークショップを実施する予定であったが、スケジュール再調整の結果、平成26年12月に国立台湾大学にてアジアの研究者を招へいして国際ワークショップを開催した。複数の科研プロジェクトとの合同開催とし、国立台湾大学側の協力も得られたため、ワークショップでは当初予定を上回る多くの国々の研究者との交流・意見交換が可能となった。ワークショップの研究成果の英文書籍としての出版する計画も出ている。 世帯間所得格差の分析に用いるデータについてはすでに許可を得て入手しており、分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
母親の就労パターンと所得格差について平成13年出生児を対象とする21世紀出生児縦断調査の個票データは許可を得て入手しているが、平成22年出生児についても目的外申請を行う予定である。また、育児休業制度と保育施策の国際比較の観点から、台湾・韓国・香港・アメリカの研究者と引き続きデータ共有と共同研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初、国際ワークショップは日本国内で本科研単独で開催する予定であったが、複数の研究者の科研費と合同して台湾での開催となったこと、また、国立台湾大学からの会場提供等の支援を得られたため、外国旅費や会議費、人件費(謝金)が予定より少額で済んだため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外研究者との交流・共同研究を進めるための招へい・会議開催費用ないし当方が出向くための外国旅費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)