2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380359
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
児玉 直美 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (10573470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 有子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (80721498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雇用創出・雇用喪失 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バブル崩壊以降、グローバル化、少子高齢化が進展する中、日本の労働市場を対象に、景気変動と雇用創出・雇用喪失の関係性、中小企業が雇用創出・雇用喪失に果たした役割について分析、ひいては今後の雇用創出・雇用喪失動向に関する含意を得ることを目的としている。 平成26年度は、当初、研究実施計画で予定していた通り、分析に用いるデータセットのパネル化やデータセット間の接合作業、データの整合性チェックなどを行った。 それとともに、分析の一部を行い、結果は、経済産業研究所ディスカッション・ペーパーとして公表した(RIETI Discussion Paper Series 15-E-002)。その結果からは、①大企業と比較して、中小企業の雇用創出率、純雇用増加率のレベルは低い、②グローバル化の影響は大企業と中小企業で異なるわけではなく、海外活動をより活発に行うようになった企業では国内雇用も増え、海外活動が縮小した企業、海外子会社・国内子会社を持たない企業では国内雇用が減っている、③地方事業所は大都市の事業所に比べて雇用創出率は高く、純雇用増加率のレベルは低いが、大都市と地方でグローバル化の影響が異なるわけではないことが分かった。 平成27年度以降は、引き続き、データセットの整備、整合性チェックなどを行うとともに、景気変動と雇用創出・雇用喪失の関係性を明らかにするために、より長い時系列データで分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、当初、研究実施計画で予定していた通り、分析に用いるデータセットのパネル化やデータセット間の接合作業、データの整合性チェックなどを行った。 それとともに、分析の一部を行い、結果は、ディスカッション・ペーパーとして取りまとめることができた。その結果からは、①大企業と比較して、中小企業の雇用創出率、純雇用増加率のレベルは低い、②グローバル化の影響は大企業と中小企業で異なるわけではなく、海外活動をより活発に行うようになった企業では国内雇用も増え、海外活動が縮小した企業、海外子会社・国内子会社を持たない企業では国内雇用が減っている、③地方事業所は大都市の事業所に比べて雇用創出率は高く、純雇用増加率のレベルは低いが、大都市と地方でグローバル化の影響が異なるわけではないことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、企業パネルデータを用いた上記と同様の推計(景気動向が各企業の雇用創出・喪失に及ぼす影響の推計)も行い、新規企業か否か、グローバル企業か否かでこうした影響のレベルに有意な差があるかどうかを検証する。さらに、事業所レベルで賃金調整と雇用調整の関係をみるため、賃金構造基本統計調査から得られる当該事業所での前年比賃金上昇率(注)と雇用喪失率や純雇用創出率との関係を分析する。併せて、実証分析の結果について解釈を深めるため、これまで得られた結果と既存研究で論じられてきた理論モデルとの整合性について考察する。 データが利用可能な期間が20 年程度(景気循環との対応ではおよそ3 循環半)に限られているが、1990 年代(バブル後)の非正規労働者の増加が急激に進んだ時期、2002~2007 年の海外生産が拡大した時期、2008 年リーマンショック後の全産業にわたる不況(特に、卸売業、対事業所サービス業の不振)時期を含むため、局面により、業種別に違う動きが見られることが期待できる。循環ごとに労働市場との対応性が異なるため、分析結果の解釈が容易ではない可能性も考えられるので、必要に応じて地域別の多様性も分析に反映させる。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、学会発表が国内(慶應義塾大学)で行われたため、旅費がほとんど発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、少なくとも現時点で、児玉1回、上野1回の海外出張(学会報告)が予定されている。
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Research Products
(2 results)